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北東伯で大雨の被害拡大=ダム決壊で濁流が襲う=まるで津波と消防士ら=行方不明は1千人超?

ニッケイ新聞 2010年6月23日付け

 【既報関連】大西洋の海水温度上昇などで先週から大雨に見舞われている北東伯では、ダムの決壊などにより被害が拡大。死者41人、行方不明者は1千人以上と22日付伯字紙やサイトが報じた。深刻な被害にルーラ大統領が軍の出動などを命じた他、州内、州外からも支援物資が送られて来ている。

 大西洋の海水温度上昇に伴う水蒸気増加が北東伯に雨をもたらすのは例年の現象だが、現在の大西洋の海水温度は平年より1・5度高く、太平洋の海水温度下降(ラニーニャ)現象も手伝って、過去40年で最高の降水量となった町も出る集中豪雨となったようだ。
 被害が集中しているのはアラゴアス州(AL)とペルナンブコ州(PE)で、ALでの死者は22日朝までに29人、PEでは12人。浸水・倒壊家屋はAL州だけで1万1400軒とされ、両州の避難生活者は17万7千人、行方不明はウニオン・ドス・パウマーレスだけで500人、全体では1千人を超える可能性もある。
 特に、PE南部ボン・コンセーリョにある貯水池のダム決壊により急激な増水を見たムンダウー川は、少なくとも5メートルの水位上昇を記録。押し寄せる濁流は消防士が「まるで津波」と表現するほどの勢いで周辺地域を襲い、沿岸60キロの町々はほぼ壊滅状態となる被害が生じた。
 18日以降、断水や停電、電話回線不通なども続く同地域では、家財道具なども全て失い、着の身着のままで逃げ出した人が大半。小康状態だった21日に家に戻り使えるものを探しても、扉や電気線などを回収できたのみという人が多かったようだ。
 PEではウナ川が増水したパルマーレス市など、南部中心に被害が出ているが、レシフェでも19日に警戒警報発令など、雨と洪水の爪痕は隠せない。21日付G1サイトによれば、レシフェ沿岸で回収されたゴミは、増水した川が運んできた樹木や倒壊した家屋残骸などを含む15トン。川の流域での被害がいかに大きかったかを示す物的証拠だ。
 ALでは15市、PEでは9市で非常事態宣言が出ている他、警戒態勢を敷いている市町村も多く、防災局では、強い雨が戻った22日の被害拡大を懸念している。
 22日早朝には、サンパウロ州グアルーリョス空港から14トンの支援物資を積んだ空軍機が飛び立つなど、内外からの支援物資が届いているが、22日は再び悪天候となり、配送などに影響が出る可能性もある。
 連邦政府は22日、両州支援のための1億レアル支出を決めたが、義捐金はブラジル銀行(支店番号3557―2口座番号5241―8)か連邦貯蓄銀行(支店番号2735オペレーション番号006口座番号955/6)へ。