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家計調査が描く社会格差=家庭収入は10・8%増=それでも不足する食料品=毎月赤字は68%に減少

ニッケイ新聞 2010年6月25日付け

 23日に発表された地理統計院(IBGE)の全国家計調査によると、03年から09年にかけての家庭収入は平均で10・8%増加したが、それでも食事に事欠く家庭は35・5%など、依然として様々な意味の社会格差がある事が判明したと24日付伯字紙が報じた。収入の21%を年金や生活扶助などの政府給付金に依存する家庭も37%に上るという。

 同調査によると、03年に2494・25レアルだった家庭収入が2763・47レアルにと国民の購買力は向上。一方、03年に46・7%だった食事に事欠く家庭は35・5%に減少したものの、現政権発足時の公約〃フォーメ・ゼロ〃達成はまだ先だ。
 食事に事欠く家庭は、北伯での63・9%が51・5%、南東伯での43・4%が29・4%の様にそれなりに減少しているが、それでも、北伯で51・5%、北東伯で49・8%の家庭が充分に食べるだけの食料品を購入できずにいる。
 また、食生活改善後も食べ物を自由に選べるというレベルではなく、ひもじさは感じない程度に食べている家庭が12・9%。好きな物も時々食べるは52%で、食べたい物を自由に食べるのは35・2%。
 家庭収入は、北伯が1755・94レアルから2092・32レアルに19・2%増、北東伯が1513・31レアルから1764・42レアルに16・6%増となったものの、8・9%増え3348・44レアルの南東伯、12・5%増え2050・82レアルの南伯、13・7%増え2823・75レアルの中西伯との差は大きい。
 全国平均2626・31レアルという支出額で見ても、南東伯の3135・80レアルは北東伯の1700・26レアルの2倍弱などは地域差を反映したものだ。
 また、家庭収入向上の要因は雇用確立や所得向上であるべきだが、収入の21%が年金や失業保険、ボルサ・ファミリアなど給付金という家庭37%の数字も社会格差の大きさを暗示する。
 収支バランスが崩れ、毎月赤字の家庭は68・4%。収入の範囲内で生活するのは困難だとする家庭は75・5%で、毎月赤字が85・3%だった03年から見れば大幅な改善だが、月収830レアルまでの家庭では、収入平均544・21レアルに対し平均支出744・98レアルと、低所得者層ほど赤字に悩まされている事になる。
 また、白人家庭の平均支出3371・27レアルに対し、黒人家庭1783・64レアル、混血であるパルドの家庭1885・41レアルの数字は人種差、家計の中心が大卒だと4314・92レアル、無学歴だと1403・42レアルの数字は学歴差が依然として存在する事を表す。家族構成員数3・6人が3・3人に減少したのは核家族化や少子化の表れなど、家計の動きは社会の趨勢を反映している。