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『ブラジルの日系人』=出版記念会に来賓多数=島内大使「これは必読書」

ニッケイ新聞 2010年7月1日付け

 原田清さん編著『ブラジルの日系人』の出版記念会が移民の日の6月18日夜、文協貴賓室で行われ、島内憲駐伯大使、上田雅三連邦高裁判事をはじめ、多くの来賓が訪れた。ポ語版の初版は08年1月に州議会で盛大に出版会が行われ、翌09年5月に増補版、今回は日本語版となった。
 百周年記念協会の上原幸啓理事長は「日系人にとって計り知れない貴重な1冊。200周年に向けた置き土産です。若者たちには子弟教育、倫理道徳を継承することに立ち向かって欲しい」とあいさつした。
 島内大使は、あちこちの国に赴任しているが、「他にこの国ほど日本と深いつながりのある国を知らない。どこへ行っても愛情深く迎えられるのは、移民のみなさんのおかげ。この本はその歴史を分析し、豊かにするもの。できるだけ多くの日本人に読んでもらいたい。ブラジル関係の仕事をする人の必読書といえる」と高く評価した。
 最後に原田氏は「日系社会の歴史だけでなく、日系人がどうブラジル社会に貢献したかを日系人自らが書いているのが特徴。日系人の統合、発展、貢献の全てが描かれている」と薦めた。
 共同執筆している中川郷子(きょうこ)さんは、「日本でブラジル人支援活動などに関係しているNGOの方にも読んで欲しい」、夫の中川デシオさんも「日本には移民があったことを知らない人すらいる。この本を通してブラジルの日系人のことをもっと知って欲しい」と期待している。
 当日は100人以上が訪れ次々に買って、サインを待つ列ができた。原田さんは取材に答え、「印刷から上がってきたのが今日の午後4時半、この2週間心配で寝られなかった」と笑い、ほっとした表情を浮かべた。
 主な章は以下の通り。「世界における日本移民の歴史的発展」「日系人の発展と同化の過程」「第2次大戦がもたらした緊迫状態」「ブラジル社会における日系人の地位」「農業における影響」「商業、工業、サービス業」「福祉事業」「医療衛生分野」「デカセギ」「日本の日系ブラジル人」「県人会」「法律分野」「日本政府の支援」「日系社会の将来」
 百周年記念協会(11・3209・3875)で販売中。