ニッケイ新聞 2010年7月7日付け
10月3日に投票が行われる統一選挙の立候補受付が5日を以って締め切られたが、6月に大統領裁可となったフィッシャ・リンパ法を潜り抜けるために最高裁判所や高等選挙裁判所での暫定処置を求めたり、同法を無視して立候補を届け出た厚顔無恥の政治家もいた事を5日付伯字紙などが報じた。
政界汚職撲滅などを目指して上程されたフィッシャ・リンパ法がルーラ大統領の裁可を得たのは6月4日。その後、高等選挙裁判所が、同法適用は今回の統一選挙からで裁可前の犯罪も対象とする事を確認した。
公職選挙法違反や贈収賄、その他で告発、断罪された人物については、選挙戦への立候補を差し止め、被選挙権剥奪期間も3年から8年に延長するなどの規定を盛込んだフィッシャ・リンパ法導入で、今回の統一選への出馬が危ぶまれていた政治家の内、最高裁に泣きついた政治家や高等選挙裁判所に被選挙権認可を求めたものの却下された政治家、何事もないかの如く立候補を届け出た政治家などの名が新聞紙上にも掲載されている。
最高裁に泣きついて被選挙権認可の暫定処置を得たのは、ピアウイ州選出、民主党(DEM)のエラクリト・フォルテス上議と、民主労働党(PDT)のマリア・イザウラ・レモス・ゴイアス州議ら。各々、1日にジルマル・メンデス判事、2日にジアス・トッフォリ判事から被選挙権剥奪停止の暫定判決を受けた。
暫定判決を受けた二人は各々再選に向けた立候補だが、これらの暫定判決は個々の判事が認めたもので、合議で認めるとの原則に反するため、8月初旬の最高裁審議正常化後に暫定処置取り消しの可能性も高い。
一方、同じ最高裁では2日、元高等選挙裁長官のカルロス・A・ブリット判事が、合議なく暫定処置は出せないと被選挙権の認可を求めた申請を却下。高等選挙裁では、リカルド・レワンドウスキー現長官が7件の同種申請を却下している。
また、同法適用には当たらないと涼しい顔で立候補を届け出た政治家の一人は、マラニョン州知事を罷免されながら再選を目指すPDTのジャクソン・ラゴ氏。サンパウロ市長時代の不正取引で断罪された進歩党(PP)のパウロ・マルフ下議は、上告勝訴して立候補。最高裁で同法の正当性を問うといきまいてもいる。
立候補後にF・リンパ法適用対象と判断された場合は当選しても職責剥奪となるが、6月21日に選挙資金その他の銀行口座の動きに問題があると会計監査院が発表した政治家リストには5千人以上の名が記載されているという。
汚職撲滅運動関係者らは同法の厳格適用を求めて行動を起こす構えを見せており、6日からの選挙戦開幕後は、選挙裁判所や検察庁その他、監査機関職員の動きが一段と慌しくなりそうだ。