ニッケイ新聞 2010年7月7日付け
【既報関連】アフリカ大陸歴訪中のルーラ大統領は5日、赤道ギニアのオビオン・ンゲマ大統領と会談を行い、5つの合意文書調印後、次の訪問地ケニアへと旅立った。
ンゲマ政権反対派による09年のクーデターの際、同大統領が野党の党員9人を証拠もないのに捕らえて虐待した事で国際的な批判も起きた赤道ギニア訪問には、ブラジル内外からも懸念の声が出ていたが、同行のアモリン外相は、各国の問題は各国国民が解決すべきで、ブラジルは赤道ギニアの独裁政権を助ける意思も推進する意思もないと明言。メディア関係者には、今回の訪問は交易交渉などが主題と答えている。
政権と共に、アフリカ海岸諸国第3位の産出量を誇る石油その他の富も掌握するンゲマ大統領に対し、国民の6割が貧困に喘ぐという赤道ギニアとブラジルの09年の貿易額は輸出入あわせ3億200万ドル。総額2810億ドルを記録した国際貿易の0・001%を占める交易国だ。
今回の訪問では、ポルトガル語諸国共同体加入や治安問題、ビザ発行など、5つの合意が成立、調印となったが、合意文書調印後に予定されていた共同記者会見は、ブラジル側に説明もないままキャンセルされた。
メディア関係者を排除し、外交官と警備員だけという会場での公式会見は名ばかりで、会場からの質問は一切なし。ルーラ大統領一行は、ギニア側が準備した、ブラジル大統領の歴史的訪問を讃え、両国は民主主義発展のため努力するとの文書朗読を聴いた後、初の大陸東部への旅の途についた。
ホンジュラス新政権に対しては民主的な過程を経ていないと否定的な態度をとったブラジルが、ンゲマ政権容認姿勢を見せた事に対しては内外から疑問の声も出ている様だ。