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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年7月7日付け

 野球賭博、暴力団とも癒着。―と土俵の鬼たちもまったく救いがない。相撲協会も同じであり、なにごとも「まあまあ」で収める気質が今も健在なのは、真に遺憾だし世の批判が高まるのも致し方ない。これほどの不祥事だから武蔵川理事長の責任は重い。ところが、そうした反省や引責の考え方がゼロに近いのは如何なものか▼武蔵川理事長に代わる理事長代行選出を巡っても、理事会は荒れたらしく、親方たちも東京高検検事長だった村山弘義氏の就任に反対し、放駒理事(元大関の魁傑)を推薦するなどのゴタゴタが続き、これを新聞はトップで報じたりもした。こんな知能程度では、国技の先行きも極めて危ない。名古屋場所の開催が決まったけれども、これとても大関・琴光喜が永久追放だし、十両以上の10力士が賭博などで出場できない▼NHKも実況放送を中断と決めたし、もっとフアンの心を汲み取るような気配りが大切だし、土俵と力士の美しさが欲しい。相撲には地方巡業もあるし、興行にあたっては暴力団関係者との付き合いも昔から深かったのは否定できない。あれは昭和32年だったかに出羽の海理事長(横綱常の花)割腹事件が起こった。相撲界の「八百長」や「力士の給与」問題などの難問を抱えての自殺未遂事件だったけれども、現在の相撲協会も状況は似たようなものであろう▼時津風部屋の若い力士死亡事件もあるし、もう拳骨と竹刀で苛めるだけでは通用しない。もっと開けて自由な空気のなかでの猛稽古が必要だし、昔ながらの厳しさだけではやってゆけないの新しい感覚を身に付けてほしい。(遯)