ニッケイ新聞 2010年7月8日付け
6月までのデング熱感染報告は擬似患者も含め83万人となり、過去最悪といわれた2008年前期の80万6千人を上回ったと7日付フォーリャ紙が報じた。
報告された患者のすべてが本当のデング熱感染者と確認されたわけではないというが、今年の流行は人口密度の高いサンパウロ州やミナス州を中心に広がっており、全国での死者は321人とも報告されている。
サンパウロ州では、海岸部のグアルジャーや内陸部のリベイロン・プレット、サンジョゼ・ド・リオ・プレットなどを中心に、感染確認済み患者が12万1270人、死者も98人出た他、未確認分込みの数字では、ミナス20万3966人、ゴイアス8万9282人、南マット・グロッソ7万7024人、パラナ5万4481人などが目立つ。
ミナス州フォルミーガでは、デング熱を媒介する蚊の発生防止のため、産卵に適した水の溜まり易い容器などを持ってきた住民にフェイジョン提供などの対策も採り入れたが、高温多雨といった天候も大きな要因だ。
その意味でサンパウロ州での感染多発は年頭の多雨が原因の一つといえそうで、今後の感染拡大が心配なのは雨季に入った北東伯など。北東伯ではペルナンブコ、アラゴアス両州に続き、バイア州での水害報告もあり、これからのデング熱感染報告の増加が懸念される。
学校が休暇に入るなどで人の動きも多くなる時期だが、重症患者発生も多く、専門家の会合で〃津波〃の表現が出たデング熱だけに、患者多発地域に出向く人は要注意。ラ米一の港や石油産出で経済力もあるサンパウロ州海岸部の流行は経済活動への脅威でもあったが、医療機関や啓蒙活動充実に目を向けさせるための警告との声も出ているようだ。