ニッケイ新聞 2010年7月13日付け
選挙は投票箱を開けて見るまでわからない―は、昔からの言い伝えながら、今回の参院選挙も民主党がこんなにも敗けるとは。選挙の神様・小沢前幹事長の神通力も、消費税増税には、とてもかなわない。いや、この消費税では自民党の大平正芳首相もだし、中曽根さんや竹下さんを始め橋本、安倍両首相などが参院選で大敗しているし、選挙にとってはどうも大鬼門なのである▼でも、民主党が政権を手にしてからの10ヵ月を振り返ってみると、「政治とカネ」や普天間基地のゴタゴタとマイナスばかりが目立つ。颯爽と首相の座についた鳩山御曹司は夢物語ばかりを吹聴し、なんにもせずに辞任し、後釜となった市民運動家の菅首相も、口ばかりが達者だし、あの沖縄の難問をキチンと解決できるのかどうか。有権者は「ノー」だったのが参院選大敗だったとの見方もできる▼自民は圧勝。もっと驚くのは、渡辺喜美代代表の「みんなの党」が、改選ゼロから10議席をも獲得し独り勝ちしたことである。渡辺氏は、ブラシルとも縁の深い故・美智雄氏の息子であり、政策通で知られ将来の活躍を望まれる政治家だし、この参院選勝利で間違いなく政界に重きをなしてゆく。そして再び「ねじれ」になり、民主党は苦戦を強いられ政権運営は厳しくなる▼民主は参院での過半数に12議席足りなくなり、自民党ら野党が実権を握る。このため、外国人参政権など民主の看板政策の法案も国会通過や郵政法案改正も難しくなるのではないか。と、これからの永田町は波乱含みの政治が繰り広げられ見ごたえ十分と期待したい。(遯)