ニッケイ新聞 2010年7月23日付け
サンゴンサーロ教会で行われる聖母婦人会のバザーには、とても家族的かつ伝統的な雰囲気がある。創立は1949年だから今年61年目、55周年の文協よりも古い。それもそのはず戦後の勝ち負け紛争の中、祖国を救済すべくララ物資を送る活動の母体となった婦人部門の一部が、活動を終了した後にドナ・マルガリーダらが中心になって独立し、創立されたからだ。同女史が創立した救済会(憩の園)の方は58年創立だから、聖母婦人会は地味ながら戦後の日系社会の中でも最古参の一つだ▼ドナ・マルガリーダの右腕として同婦人会の副会長を務めた料理研究家の佐藤初枝は、今も重版を重ねるコロニアのベストセラーである日伯料理紹介本の著者としても知られる。その佐藤初枝に誘われ、財務経験をかわれて58年に入会した中矢キサさん(89、福島)は、すぐに第2回バザーを手伝い、それから半世紀以上たった今回も厨房でしっかりと働いていた。その伝統の味は、三世の畑中アリッセ会長にも受け継がれている▼会場でばったり会ったコチア旧友会の真里谷ドミンゴス元会長(84、二世)。訊けば「父親は福岡出身だが、育ちは長崎。隠れキリシタンだったんじゃないかな」と自らの苗字について説明する▼うどんを食べていた栗原豊子さん(83、二世)に話を聞くと、「父は第2回移民船旅順丸。私は7歳の時に洗礼を受けました」というので34年。コロニア最初の集団洗礼が26年に同じサンゴンサーロ教会が行われたので、やはりごく初期の受洗者の一人だ▼会場まるごとが、コロニアの歴史そのものだと痛感。(深)