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議論が分かれる高速鉄道=地下鉄300キロ分の事業費

ニッケイ新聞 2010年7月28日付け

 ベロ・モンテ水力発電所建設と並び、建設に賛否両論が飛び交うリオ~サンパウロ州間高速鉄道だが、331億レアルという事業費や、ルート、需要の実態などは皆不確定で、事業そのものがなぞに包まれていると25日付エスタード紙が報じた。
 輸送やそのサポートを専門的に扱う研究所Ilosの試算によると、同事業の予算を使えば、1日1万5千人を運べる地下鉄300キロ分(サンパウロ市の運行距離は現在62・3キロ)、旅客または貨物用の一般鉄道なら1万1千キロ分の建設が可能だという。
 入札規定上の納期は2017年で、14年W杯や16年リオ五輪にも間に合いそうもない上、リオ~サンパウロ間航空便や陸上交通の渋滞削減率は10%程度との試算がある高速鉄道は、環境への影響なども謎のまま。
 当初240億レアルと算定された事業費も、346億レアルと改定後に331億レアルに引き下げられたが、現時点の試算では30%は高くなるとみられ、中には500億から600億レアルはかかるという専門家も出てきている。
 2024年までに5千万人が利用という構想についても実際の需要は見極めがついておらず、現在までに応札の意思表明の日本、韓国、中国、スペイン、フランスのコンソーシアム以外に、需要が予想を下回った時に採算が取れなくなる事を心配して入札をためらっている企業もあるようだ。