ニッケイ新聞 2010年7月28日付け
演歌歌手の原田悠里さんが18日午後、文協大講堂で南米では初めてとなるサンパウロ公演を行い、1300人の来場者に会場は2階席まで満員となった。原田悠里ブラジル公演実行委員会(横田パウロ委員長)が主催。アマゾンなどブラジル各地からファンが訪れ、プラカードを掲げて熱狂した。
原田さんが自分の応援歌でもあると紹介する自身の「三年ぶりの人だから」や「木曽路の女」「古都旅情」のほか、童謡「赤とんぼ」や「故郷」、美空ひばりメドレーなど約20曲を披露。観客は、会場で販売された蛍光ブレスレットを揺らし盛り上がった。
原田さんは、公演中に3度着替え、たくさん用意してきたという華やかな衣装もお披露目。100万枚の売上げを記録し、2005年の日本レコード大賞金賞を受賞した「沙の川」では、受賞での番組出演時に使用した織り姫の衣装を身にまとって登場し、会場を盛り上げた。
また、観客を喜ばせたのは、ブラジル公演のために特別に用意してきたというポルトガル語の曲「トリステーザ」。アンコールでも再度熱唱し、サンバのステップを披露するなど華やかな舞台を演出した。
ショーの合間には、22年前にブラジルでチャリティー・ショーを行った師匠の北島三郎さんや坂本冬美さん、二葉百合子さんからのビデオレターが紹介され、日系社会へメッセージが送られた。
ショーの後、ロビーで観客を見送った原田さんは、列を作るファンたちに笑顔でサインや握手に応じていた。
この日のためにはるばるパラー州ベレンから訪れた清水勝子さん(群馬、66)、山家恵子さん(宮崎、55)、牧野昭子さん(群馬、63)はプラカードを持参し3列目で熱狂。口を揃えて「最高でした、写真も映像もバッチリ撮りました」と大満足な様子。
原田さんの大ファンでショーの初めに、他の日系歌手と並んで原田さんの曲「木曽路の女」を披露したのは、伊藤静子さん(二世、68)。夫いさおさん(二世、72)と一緒に、「予想通りのすばらしいショーでした」と楽しんでいた。
公演を終えた原田さんは、「コロニアのお客さんは熱い。こちらも大きな感動を与えてもらいました」と話し、「皆さんから大きなパワーを頂き、歌手としてまた一歩を踏み出しました」と笑顔を見せた。
「皆さんの笑顔に励まされた」=原田さんコロニアへメッセージ
「感動と感激の中で帰国の途につかせていただきます。ブラジルの大地に挑みがんばっていらっしゃる皆様の輝く笑顔に励まされた毎日でした」
18日に文協大講堂で南米初公演を行った演歌歌手・原田悠里さんから、コロニアに向けて冒頭のようなお礼の手紙が届いた。
原田さんは公演の中で、2階席まで移動して歌を披露するなど前代未聞のパフォーマンスを行った。舞台に降りて直に観客と触れ合い、目に涙を浮かべてハンカチで目頭を押さえる姿もみられた。
1週間という短い滞伯期間の中で県連日本祭りへの出演もこなし、師匠の北島三郎さんが84年の来伯時にイペーと桜を植樹した日伯友好病院なども訪れた原田さん。「再会できる日を心より楽しみにしています」とメッセージを結んでいる。