ニッケイ新聞 2010年8月3日付け
イタリア移民が多く住み着いたサンパウロ市のベッシーガ区(通称)の歴史を物語るミュージカルが、今月13日午後9時から同区を舞台に開幕される。1日付エスタード紙が、その熱気溢れる新たなミュージカルを一足先に紹介した。
同区は19世紀半ばに多くのイタリア人が移住して以来、イタリア人街としての様相を醸しだしながら発展してきた地域。自ら商業を行おうという意思を持ってやって来るイタリア人が多かった同区は、現在こそ少なくなったが、多くの仕立屋や細工屋で賑わっていたとされる。
ミュージカルの中では、同区で名の通った重要人物が登場する。例えば、同区についての歌を多く作曲し、同区の広場にはその像が建てられている作曲家アドニラン・バルボーザや、サンパウロ市内でも最も古いと言われるイタリア料理食堂を開いたフランシスコ・カプアーノ。1907年に開店されたその食堂は、現在も客足を引き付ける。
また、ドナ・ヤヤとして知られていた貴婦人セバスチアーナ・デ・メロ・フレイレも、注目集める個性豊かなキャラクターに。彼女が暮らした大邸宅は、今でもUSP(サンパウロ総合大学)の管理のもとで、歴史的建築物として維持されているそうだ。
そのほかにも、同区で育ち、サントス、コリンチアンス、パルメイラスなどで活躍したサッカー選手フェイチッソや、同区で発展したサンバチーム・バイバイの創立者などが取り上げられる。
23人の出演者たちが、華々しい音楽にのせてこれらのキャラクターたちを表情豊かに蘇らせる。当時の繁栄を称えながらも、要所で観客の笑いを誘う、楽しい舞台に仕上がった。
脚本は10冊の歴史書をもとに、移民の経緯を詳しく調べながら執筆された。演出家のマリオ・マゼッチさんは、「真の伝統と文化をミュージカルにのせて届けたい」と紹介している。
会場は、物語の舞台ともなるベッシーガ区のセルジオ・カルドーゾ劇場(Rua Rui Barbosa, 153, Bela Vista)。10月31日まで公演される予定。チケット購入・詳細は、電話(11・3288・0136)まで。