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商議所=地デジ普及の日伯協力=通信省次官が展望語る

ニッケイ新聞 2010年8月3日付け

 ブラジル日本商工会議所の月例昼食会が7月16日に開かれ、通信省のロベルト・ピント・マルチンス次官が「デジタルテレビ普及による日伯間の協力」をテーマに講演した。
 06年にブラジル政府により採用された地上デジタル放送規格の日本方式は、その後、両国の協力により南米、中米コスタリカなど各国で採用が決定している。
 1988年に8カ月間日本に滞在したマルチンス時間は、日本のハイビジョン技術を知り「当時から日本の取り組みに注目していた」という。
 1895年の日伯修好通商条約締結から始まり、ブラジリア遷都における食糧供給で日系人が果たした役割など農業面での貢献、50年代にはじまる日本企業進出、90年代以降の自動車メーカー進出など、多分野に広がってきた両国関係の歴史を回顧。中でも日本はブラジルで新規に事業を立ち上げる点が大きな特徴であると述べた。
 デジタル放送技術の導入に対しては、過去のカラーテレビ方式がブラジルでしか通用しないPal‐m方式だったことを反省点とし、研究者、企業や製造者側からも意見を集め、「長期間にわたって使える技術」をコンセプトに選定。日本方式が米国、欧州の方式と比べ、他の技術導入が可能であること、デジタル圧縮技術や双方向機能、さらに移動通信(モバイル)に着眼していた点などが評価され、採用に至ったとその経緯を説明した。
 日伯方式の南米への普及については、最初一部から「妄想」といわれたこともあったという。しかしその後、日伯方式は中南米8カ国へ普及。ウルグアイ、ベネズエラについても交渉を行っている。そして現在、日本と協力して南部アフリカ14カ国への普及を進めているところだ。
 マルチンス次官は、「業界や製造業がひとつの目的に向かって一丸となった」地上デジタル方式の選定、またその後の普及に政府・連邦議員レベルで取り組みが進んでいることなどを「模範的な成功例」と位置づけ、日本側の協力に感謝を示した。