ニッケイ新聞 2010年8月5日付け
3日午後、14時から17時の3時間にわたり、国立教育研究院(Inep)が保管する07~09年国家高等教育試験(Enem)受験者1200万人分の個人情報が、同院サイトで公開状態になるという事件が発生し、問題となっている。4日付伯字紙などによると、サイトへのアクセスには暗証番号なども不要だったという。
問題となったInepサイトで閲覧可能だった情報は、公的には、受験者名とRG、CPF、生年月日、母親の名前、受験番号とされているが、実際には、家庭収入やEnemの得点などの情報も閲覧できたという。
Inep側は、受験者の個人情報は、入試代わりまたは入試の一部として使ったり、奨学金支給の判断基準とするために利用する事を希望する大学などが閲覧申請書や閲覧基準への同意書を提出した場合に限って閲覧可能で、アクセスには暗証番号が必要だというが、少なくとも3日は暗証番号が無くてもアクセスできる状態だった。
Enemの受験者は09年だけで400万人。従来から入試の一部としてEnemの点数を加算していた大学があった上、09年からは入試代わりに使う国立大学などが増えているため、大学関係者の中には、頻繁に同サイトにアクセスする必要のある人もいる。
受験者の個人情報守秘については官報でも約束されており、自分自身の情報が流れた可能性がある事を知った受験者やその関係者らはショックを隠しきれない。
受験者の中には、自分が口座を持つ銀行の名で電話がかかってきて不審に思った人もおり、刑法の専門家などからも犯罪組織に悪用される事を懸念する声が出ている。
09年後期Enemでは、自宅から30キロも離れた所で受験するよう指示されたりして調整が必要となる例や、試験問題が事前に漏れて試験延期となる事態が発生。
試験延期で大学受験と日程が重なった、入試の一部として利用していた大学が利用断念などの理由で、12月の試験日の欠席は40%の新記録。Enemの点数が加算されず入試で不利になる学生が出るなどの問題も指摘された。
今年に入ってからも、Enemに関しては、サイトで公開された回答にミスがあったり、5月の試験がキャンセルされるなど問題続きで、試験の実施や運営を巡ってInepの責任を問う声が高まっていた所に起きた個人情報漏洩事件。
息子の個人情報も閲覧された可能性があるハダド文部大臣は徹底捜査を約束したが、大統領選のドシエー(機密文書)事件など、公的機関が保有する個人情報漏洩事件が続き、プライバシーの侵害や個人情報が悪用される可能性の拡大などを嘆く専門家も出ている。