ニッケイ新聞 2010年8月6日付け
熊本の辛子蓮根、岩手の銘酒南部美人、リベルダーデの風物詩、宮城の七夕祭りー。日本ではなくブラジルで知った郷土文化だ。特にこの季節は、母県から慶祝団を迎える県人会行事も重なり、様々な県の特色を知り、お国言葉にも触れることができる。取材の楽しみの一つだ▼足を運んだことがなく、コラム子にとって富山県はもっとも馴染みの薄い県の一つだ。しかし、今月1日にあった「県人移住100年・県人会創立50周年・サンパウロ州・富山県友好提携25周年」式典の取材を通じて、サンパウロ州との独自の関係があることを知った▼友好提携を記念して、県がサンパウロ大学(USP)の学生を対象に奨学金制度を設けている。奨学生らは、日本文化に関する記事をブラジルの雑誌に送る文化紹介活動も行う。元奨学生で現在、富山県庁に勤務する非日系のエヴェルソン・レモスさんが今回の慶祝団の通訳として随行し、来場者からその仕事ぶりを誉められていたのは微笑ましい光景だった。同大図書館にも寄贈を行っていることにも触れたい▼「富山村」と呼ばれる第3アリアンサには、93年から任期2年で日本語教師を派遣している。石井隆一知事は、留学・研修制度はもちろんのこと、事業を継続することを明言、これからの繋がりを強調した。他県人会長のため息が漏れそうだ▼ある役員によれば、「県人の集まりというよりも『国際交流の窓口』という認識」。47都道府県中、唯一の県連未加盟県人会。聞けば「復帰はまだまだない」とか。さすがは、実直、合理的といわれる県民性。越中魂ここにあり、か。(剛)