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ベ・コ両国=仲介挟まず首脳会談=就任したてのサントス氏=隣国との関係修復を第一に=Farcとの対話も継続

ニッケイ新聞 2010年8月10日付け

 7月22日以来、断絶状態にあったベネズエラとの国交回復を目指し、7日に就任したコロンビアのフアン・マヌエル・サントス新大統領が、10日にベネズエラのチャベス大統領との首脳会談を行うと9日付伯字紙が報じた。当初は9月1日のルーラ大統領との会談が最初の外交行事と見られていたサントス大統領だが、隣国との和解への思いが就任早々の二国間会談実現につながった。

 8日付伯字紙によれば、就任式挨拶でも「兵士である前に外交官」と発言したサントス新大統領にとり、新政権が最初に取り組むべき課題は、隣国との関係修復。7月に国交断絶状態となったベネスエラとの和解は、まさにその第一歩だ。
 ウリベ前大統領が米州機構に、ベネズエラにはコロンビア革命軍(Farc)の基地があり、Farc活動家もいる事を立証するためのビデオなどを提出した事に反発したチャベス大統領が、7月16日にボゴタ駐在大使を召還。同22日には同国駐在のコロンビア大使への退去命令も出て、国交断絶状態だった両国に、関係修復の兆しが見えたのは6日。就任直前のサントス新大統領が、当時駐ベネズエラ大使で現外相のマリア・アンジェラ・オルギン氏に親書を託し、就任式出席を乞うたのに対し、チャベス大統領がニコラス・マドゥーロ外相を代理として出席させる事を決めたものだ。
 外交官同士として既に親交もあった両外相は、就任式後の8日、南米同盟(ウナスル)事務局長ネストル・キルチネル氏と共に首脳会談のお膳立て。時間は10日正午と決まったが、場所はこの時点では未定だった。
 一方、チャベス大統領は、サントス大統領との首脳会談には喜んで出席するとの発言と共に、Farcに対し、武力闘争を続ける限り未来はないと宣告し、平和的共存を望むなら人質の全員解放などの具体的行動をとるべきだとも進言した。
 サントス大統領もFarcに対し対話継続の用意があると告げているが、その条件は人質解放とテロ行為の終焉宣言、戦士になりたい子供の募集中止の3点。条件実現までは、Farcに対してはウリベ政権と同じ方針を貫く構えだ。
 また、08年に領土内のFarc基地襲撃事件を起こし、両国関係が悪化していたエクアドルに対しても、同事件の際に押収したFarc幹部のコンピューターを、新大統領就任式に出席したラファエル・コレア大統領に返還。エクアドル側は基地襲撃作戦に関する情報を近日中に受取る見込みだとし、08年のエクアドル襲撃時の国防相でもあるサントス大統領が両国関係修復のための見せる直接対話実現に向けた取組みを歓迎する姿勢を見せている。
 主要貿易相手国でもあるベネズエラやエクアドルとの関係修復に歩みだしたサントス大統領就任式の写真は3面に掲載。