ニッケイ新聞 2010年8月13日付け
グローボ局のジョルナル・ナシオナル(JN)が9~11日の3日間、次期大統領選主力候補3人を個別に招き、インタビューを行った。12~13分の間に2人の司会者からの質問に答えた各候補の様子を、10~12日付伯字紙が追っている。
インタビューは、労働者党(PT)のジウマ・ロウセフ氏、緑の党(PV)のマリーナ・シウヴァ氏、民主社会党(PSDB)のジョゼ・セーラ氏の順で行われた。
最初にインタビューを受けたジウマ氏は、緊張の余りバイシャーダ・フルミネンセをバイシャーダ・サンチスタ・ド・リオと言い間違えたりしたものの、ルーラ大統領の両腕として政府ナンバー2の立場で政権運営に参加した事を強調した。
ルーラ人気を十分に意識し、「私達」「政府」の2語を多用し、国を治めるための経験は十分であるとアピール。政権担当政党としてのPTは、スキャンダルの渦中にある政治家らとも共闘を組むなどの誤りは犯したかもしれないが、2期にわたる施政の中で党は成長し、ブラジルも大きく生まれ変わったと説いた。
先日のバンデイランテス局の公開討論とは打って変わり、ルーラ大統領の名も前面に出した同氏は、現政権の上げてきた成果を褒め上げた上で、継続性を主張。ただし、同じ事を繰返すのではなく、向上と深化を目指すという。
一方、PT政権閣僚の1人としてメンサロン事件の際に辞任の道を選ばなかった理由などを聞かれたマリーナ氏は、内部からの浄化を目指したと釈明。連立・共闘できる政党が少ないとの指摘には、前任者や現在の連立体制に縛られないため、かえって政権運営はし易くなるとし、当選すればPTやPSDBの政治家とも連帯した政権を作るとの考えを繰返した。
最後を締め括ったセーラ氏は、場数を踏んだ政治家の貫禄を見せ、司会者の質問にも要領よく簡潔な答を返し、より広範囲に言及。ルーラ政権とカルドーゾ政権の比較をしない理由を聞かれた際には、ルーラ大統領は次期大統領候補ではないから批判の対象とはならないし、過去にこだわるより未来を見据えた論争をしたいからと答えた。
更に、「大統領は他人の人気に同乗したり、第3者の観察下に置かれ他状況で政治を行うべきではない」と発言し、ジウマ氏の状態を暗黙の内に批判した。
インタビューでは3者3様の態度や受け答えが見られたようで、3日間の同番組視聴率は30~32%。大サンパウロ市圏に限っていえば520万~590万人が候補者の声に耳を傾けた計算になるとされ、国民の関心もそれなりに高まってきているといえそうだ。