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焼畑の火の手全国で拡大=旱魃や農作業で85%増加=首都やマナウスの空も曇る=呼吸器系疾患患者も急増

ニッケイ新聞 2010年8月18日付け

 14日付エスタード紙によると、2007年以降減少傾向にあった焼畑が、今年は前年同期の1万4千カ所から85%増の2万6千カ所で行われており、健康被害も懸念されていたが、17日付伯字紙では、ブラジリアやマナウスなどで、周辺地域での焼畑が原因で大気汚染や呼吸器系疾患患者急増といった被害が出ていると報じている。

 焼畑増加は全国的なもので、1月1日から8月13日までに記録された焼畑個所は、マット・グロッソ州の6693件を最高に、トカンチンス州4210件、パラー州2526件など、09年の1万4019件を大きく上回る2万5999件。
 法定アマゾンを中心とした不法伐採取締り強化などの影響で07年以降減少傾向にあった焼畑が今年になって増加に転じたのは、旱魃が長引いている事や農作業の拡大、消火のために現地に到着するための道路網などの不足が原因とされているが、前年同期比407%増のトカンチンスや365%増のピアウイ州、250%増の連邦直轄区などは特筆に価する。
 ブラジルでの焼畑は、砂糖きび収穫後の農作業の一環として、また、森林伐採後に農牧地として整地し易くするためなどの目的で行われるものだが、前年同期比85%という数字は、環境破壊や健康被害という意味でも懸念すべき実態だ。
 焼畑やそれに伴う煙による健康被害は、結膜炎や鼻炎、鼻やのどの違和感に扁桃腺炎の他、気管支や肺の炎症、ぜんそくなど多種にわたる。
 サンパウロ州では連邦検察庁が13日、リベイロン・プレット地方53市の砂糖きび畑での焼畑中止を求めた他、ロンドニア州ポルト・ヴェーニョでは、大気中の一酸化炭素量が世界保健機構の定める健康基準の15倍に達し、8月に入ってからのコスメ・エ・ダミオン小児科病院来院者数は、1~6月の実績を2千件も上回るほど。ジョージ・テイシェイラ空港では、視界悪化のため、16日未明の発着便を全てキャンセルしたという。
 この状態は、直接焼畑を行っていない地域にも拡大しており、一酸化炭素と大気中の浮遊物質量で見たブラジリアの大気汚染度はサンパウロ市並みと17日付フォーリャ紙。中西伯や法定アマゾン域内からの煙による大気状態悪化は顕著で、昨年は入院患者の10%だった呼吸器系疾患患者が17%に増えているという。
 また、ここ数日は焼畑の報告は出ていないアマゾナス州マナウスでも、ロンドニア州などからの煙が空を覆い、空港では16日午前4時から6時の発着便を全てキャンセル。17日付エスタード紙によれば、風向きが変わる18日以降は状態改善の見込みだというが、市内の病院では、呼吸器系疾患を起こして来院する子供の数が2晩連続で増えているという。