ニッケイ新聞 2010年8月20日付け
私事で申し訳ないが、コラム子はここ1カ月半ほど、肺の病でしばらくサンタクルス病院に入退 院を繰り返していたために本欄を休み、ご迷惑をおかけした。まだ完治したわけではなく、医者からは「観察期間」と釘を刺されている状態で本調子ではないが、とりあえず、仕事に復帰したことを報告したい▼さて、入院中に気付いたことが幾つかある。当初、風邪で咳が出たために病院内でマスクをしていたら、ブラジル人検査技師から「なんでマスクをしているの!」と怒られ、不思議に思った▼途中で結核の疑いがあると診断され、隔離病室に入れられた時、怒られた理由が分った。隔離病室に入ってくる医師や看護婦らが、そろいも揃って分厚いマスクをしていた。当地では、危険な患者に接する時に使うものだったようだ。結局は結核の疑いは晴れ、一安心▼他人にうつさないためにするのか、自分を守るためにするのか。同じマスクだが、まったく意味が違ってくる。「相手に迷惑をかけないようにマスクをする」という発想は、思いの外、日本的なものかもしれない▼偶然にも驚かされた。同室者になった川畠日出男さんから戦争中、パラオで少年時代を過ごした話を聞いているうちに、ふと「この人を昔取材したことがある」と思い当たった。しかも、コラム子が弊紙に入社して2カ月目、最初に手がけた連載の第1回目の登場人物だった。本人に確認すると「その時の記事をまだ取ってあるよ」と笑う▼「お先に」と退院したつもりだったが、川畠さんが出る日に、逆に私は救急車で再入院・・・。皆さん、三途の河原を踏む前に、自分の身体をクイダしましょう。(深)