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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年8月24日付け

 日本の小中学校でも来年から「古事記」や「日本書記」の神話を教えるようになり、新しい教科書が決まった。これまでのよりも国語や算数はページ数が約50%も増えたそうだが、これも古い歴史を取り上げたり、レベルの高い数学を組み入れたからであろう。あの戦争の頃には「古事記」などの勉強には異常なほど力を注いだけれども、戦後になると学校からは、すっぽりと姿を消してしまった▼それでも、筆者などは小さい頃に風呂に入ると、母が天照大御神の天の岩屋戸籠りなどをよく話してくれたが、今の若いママらには、ちょっと無理かもしれない。でも近頃は、三浦祐之氏の「古事記」和訳に人気が集まり、よく売れたらしいし、これは大変に喜ばしい。こうしたものがきっかけとなって神話や昔の事を多くの人が学ぶ姿になって欲しい▼この教育改革を高く評価したい。改正教育基本法などを踏まえ国語で日本の神話を掲載することや「日本の伝統文化の尊重」が各教科書に盛り込まれたからであり、戦後65年にしてやっと本来の学校教育に戻ったの感じが真に強い。何処の国にも神話はあるし、イザナキとイザナミの「国生み」と同じような言い伝えもあり、国民たちは、こうした「神話」を知り尊重もする▼だが、日本の学校現場は、戦後になると「神話は非科学的」と排斥し続けてきたのが実態であり、歴史や伝統的な文化に学ぶの姿勢がなかったと云っていい。一般論としてだが、戦後教育で育った人にとって日本の古典は難しい。それが小学生から「古事記」に親しみ古典を読めるようになれば、これは大いなる歓喜としたい。(遯)