ニッケイ新聞 2010年8月26日付け
外国人や外国に本部がある企業によるブラジル内の土地購入が再規制される事になったと、24日、25日付ブラジルメディアが報じた。外国人の土地購入について連邦総弁護庁(AGU)が打ち出した見解をルーラ大統領が裁可し、23日付官報に掲載したためで、23日から実質的に発効となっているようだ。
今回公表されたAGUの見解に基づく規制は、外国人投資家や外国に本部のある企業がブラジル国内の土地を購入する場合、ブラジル籍企業を通して購入する事を義務付けるもので、購入できる土地の広さも5千ヘクタールまでに制限される。
外国人の土地購入は1971年制定の条例第5709号によって規制されていたが、1994年にAGUが打ち出した、ブラジル籍企業による購入は規制対象外という見解によって実質的に無制限となり、連邦政府や州政府も外国人が購入した土地の大きさなどを把握出来なくなっていた。
94年のAGU見解見直しは、食糧確保やバイオ燃料生産のための土地購入を目指す外国人や外国籍企業が増えてきた事に危機感を持った政府が指示したもので、2008年から3年越しで検討が加えられていた。
本来はもっと早い時期の公表が予定されていた新見解は、国際的な金融危機のために公表が見送られていたが、23日の官報掲載をもって実質的に発効となった。
今回発表された見解によれば、外国在住の外国人投資家や外国に本部をもつ企業がブラジル籍企業を通して購入できる土地の広さは50区画まで。各区画の大きさは地域毎に異なるため、土地購入の上限は250から5千ヘクタールまでと、かなりの幅が生じる。
また、外国人が購入できる土地の広さは自治体面積の25%までという規制と、同一国籍の投資家や企業が持つ事が出来る土地は自治体面積の40%までという規制が設けられたため、50区画以下の土地でも購入出来ない可能性が生じる。
選挙年は森林伐採が増えるというのが常識のブラジルにとり、アマゾンの森林や水資源保護は国際的な課題の一つである上、最近急増した中国企業などの土地買占めで農業用地の値上りが続いている事を懸念する政府が、外国人による土地購入がこれ以上無制限に拡大しないようにとの意図で公表したAGUの新見解は、今年中に正式な国会審議にかけられる予定だ。
23日以降外国人投資家や外国籍企業がブラジル籍企業を通して行う土地購入は別台帳に登記され、外国資本による土地購入と国内資本による土地購入は明確に区別される。
AGUでは、既に購入済みの土地は新規制対象外としており、外国人や外国籍企業であってもブラジル籍の企業を通して土地購入が継続できるため、土地を巡る投資が減る事はないと見ている。