ニッケイ新聞 2010年8月27日付け
春の訪れを告げる花の祭典「アルジャー花祭り」(汎ヅットラ花卉生産者協会=AFLORD=主催、林広高会長)が21日、同市のAFLORD展示場で開幕した。19回目の今年は「花の遊園地(Parque das Flores)」をテーマに、観覧車やジェットコースターなど趣向を凝らした展示が来場者を迎える。直売所では蘭をはじめ様々な花、植物、園芸用品などが安価で販売され、食事コーナー、舞台アトラクションも充実。花に囲まれて休日を過ごす人たちでにぎわいそうだ。今年は9月7日まで計8日間の開催。期間中約5万人の人出が見込まれている。
【展示場】
毎年テーマを変えて訪れた人の目を楽しませる花祭りの目玉、展示場。中へ入るとまず、色とりどりのアジサイが来場者を迎える。
「花の遊園地」をテーマにした今年は、会場中央で花を乗せて優雅に回る観覧車を中心に、電車、ジェットコースター、コーヒーカップ、木馬、ヨーロッパ風のお城など、色鮮やかな花々で飾られたスペースを通って場内を一周できる。品評会に入選した花や、香月流生け花の展示もおなじみだ。
主催のAFLORD林広高会長によれば、今年の展示内容は若い世代が企画したもの。「ずいぶん好評。これまでの展示は日本人好みのものだったけど、若い人がやったおかげで、非日系の人達にも受けています」と笑顔を浮かべる。
コーヒーカップに座って記念撮影する親子連れなど、訪れた人は思い思いに時間を過ごしていた。
【直売所】
直売所では、様々な蘭の花が所狭しと並び、桜やアメイシャ、ジャボチカーバなどの苗木、アジサイ、サルビア、シクラメン、ベゴニア、ダリアなど鉢物、観葉植物、サボテン、盆栽、苗や球根、種などを安価で販売。生産物にはそれぞれ、生産者の名前が記載されている。
肥料や園芸用品などを加えると、販売点数は12万点に上るという。熱心に花を検分する人、大きなカートを鉢でいっぱいにした人など、人の流れは途切れることなく続いていた。
【食事コーナー】
地元アルジャー文協や関係者らが用意する食事は、焼きそば、天ぷらだけでなく、カラブレーザやペルニル、焼き鳥、うなぎ、親子丼など日伯の味が軒を連ねる。ADESC(農協婦人部連合会)も出店し、弁当や加工食品が人気の様子。
その他、会場では衣料や食品、サンパウロ博物研究会による薬草販売など、各種のバザー店舗が並ぶ。また舞台では、TVラジオ日系の番組ほか、太鼓や踊り、外国舞踊など期間を通じてプログラムが準備されている。(プログラムは本ページ左下参照)
開催要項
28、29日および9月4~7日までの午前8時半から午後6時まで開催。AFLORD展示場住所=Av. PL do Brasil, km 4,5, Fazenda Velha, Aruja。
入場券は、当日券16レアル、前売り券および20人以上の団体は12レアル。60歳以上または学生は8レアル。8歳以下は無料。前売り券はアルジャー、イタクアケセツーバ、モジ、サンパウロ市、グアルーリョス、サンジョゼ・ドス・カンポス、スザノ各地で取り扱っている。
会場へのバスは、ロドビアリア・チエテからパッサロ・マロンまたは地下鉄アルメニア駅からヅットラバス。期間中は、アルジャーのバスターミナルから会場までタクシーが特別価格で運行する。
前売り券の購入先、祭りに関する情報は、電話=(11)4655・4227/4655・1928またはサイト(www.expoaflord.com.br)まで。
ごあいさつ=汎ヅットラ花卉生産者協会=会長 林 広高
本日ここに第19回AFLORDアルジャー花祭りを盛大に開催出来ますことは、私共ヅットラ花卉生産者一同、この上ない感謝でいっぱいでございます。
この開催に当たり、多くの来賓のご臨席をいただき誠にありがとうございます。
今年のテーマは「花の遊園地」。ランの花を中心とした飾りつけによる花の観覧車を中央に、ジェットコースター、コーヒーカップ、木馬、お姫様の城、花の電車と、まさに花、花の祭典。また花壇には、色とりどりの花が咲き乱れ、ご来場の皆様方も十分喜ばれ、どうかご家族連れでご来場くださいますようご案内申し上げます。
私達生産者一同が愛情を込めて努力し、技術生産向上のため今日までやってまいり、その甲斐あって今では、三世の若い人達が新たな世界に挑戦しているところでございます。
これからも25回、30回と花祭りは続いていく事と思いますが、今は、亡き北方先生が作られたプレートの中の歌、「愛と美に生きる喜び花まつり」を忘れることなく、会員一同、愛と美を目標として努力していく覚悟でございます。
最後になりましたが、パトロシナドールの皆様方、また多くの商社の皆々様、長い間に亘りご理解とご協力を賜り、感謝の気持ちでいっぱいです。
会員の皆様のご協力により、立派な花祭りが出来、心から厚く厚くお礼を申し上げます。
北方氏の思い今も
花祭りの開会式、林広高AFLORD会長(69、三重)は北方邦雄氏の句「愛と美に生きるよろこび花まつり」を紹介し、「これからも愛と美を目標に努力していく」と力強く語った。
農業技師として汎ヅットラの花卉栽培、技術向上に尽力した北方氏。肥料の竹中商会創立に携わり、同社を退職後、農業に従事していたところを当時の荒木克弥会長(72、山形)らが招聘した。「最初は中々うんと言ってくれなかった」と荒木さん。「北方さんが手がけた鉢物用の液肥が効いた」と同氏がヅットラの花卉栽培に与えた功績を強調する。
「重い液肥を担いで皆の所を回っていましたよ」と振り返るのは、生前に健康管理を担当した安武誠元会長(73、熊本)。花祭りを始めるに当たっても、「花作りだけではだめ。見せなければいけない」という北方氏の言葉があったという。「今のアフロードの花があるのは先生のおかげ。先生がいなかったらこんなきれいな花はできなかった」、安武さんはしみじみと語った。
肝炎からガンを患い、98年8月に死去。生産者が持ち寄った花が葬儀会場を埋めたという。
AFLORD展示場に、北方氏が生前に設計したオブジェがある。中央のアーチから四方に延びる道。その間を、四種類の花が囲む。アーチの横に飾られたプレートには前述の句が刻まれ、同氏の思いを今も伝えている。
舞台プログラム
(時間は30分間隔。予定)
時間:期間中午前10時半~午後4時ごろまで
【28日】10h30~沖縄太鼓(トクサイ祭り太鼓)、スペイン舞踊(戸塚マリ)、ベリーダンス、12h00~マジックショー、極真空手、沖縄太鼓、スペイン舞踊、ベリーダンス、TVラジオ日系、マジックショー。
【29日】10h30~スザノコウラン太鼓、リベイロン・ピーレス民舞、維新YOSAKOIソーラン、12h00~琉球舞踊(太圭流華の会)、TVラジオ日系、スザノ太鼓、民舞、維新YOSAKOIソーラン、琉球舞踊、TVラジオ日系。
【4日】10h30~マジックショー、ベリーダンス、TVラジオ日系、13h30~ベリーダンス、マジックショー、TVラジオ日系。
【5日】10h30~極真空手、タウバテ少年民謡(海藤)、ボリビア舞踊、12h00~レキオス芸能同好会、阿波踊りレプレーザ連、TVラジオ日系、タウバテ民謡、レキオス、阿波踊り。【6日】10h30~TVラジオ日系、マジックショー、アルジャー文協少年三味線、TVラジオ日系、13h30~マジックショー、アルジャー三味線、TVラジオ日系。
【7日】10h30~スペイン舞踊、ロシア舞踊、ベリーダンス、12h00~マジックショー、日本舞踊(サンミゲル)、TVラジオ日系、スペイン舞踊、ロシア舞踊、ベリーダンス、マジックショー、TVラジオ日系、サンミゲル日本舞踊。
表彰を受けた最優秀生産者(敬称略)
◎「切花部門」
藤本紀雄
(Flores Fujimoto)
◎「蘭部門」
田中裕規緒
◎「観葉植物部門」(盆栽)
玉腰範之
◎「鉢物部門」
蒔田勉
(Flora Amabilis)