ニッケイ新聞 2010年9月10日付け
サンタカタリーナ州唯一の桜祭りである「ラーモス桜祭り」が4、5両日、フレイ・ロジェリオ市の同移住地で開催された。例年を上回る来場者が訪れ、ブラジルでは珍しく白い花を咲かせる山桜を見上げた。鯉のぼりが泳ぐ会場では、地元産品の販売、日本文化の紹介・展示、盆踊りなど様々な趣向がこらされ、来場者は南伯に息づく日本文化を体験した。主催はラーモス日伯文化協会(山本和憲会長)。今回で13回目を迎える。
初日の開会式にはポルト・アレグレ出張駐在官事務所の竹内重弘領事、ジョゼ・ギィジ州地域開発長官(州知事代理)、イヴォネッテ・フェリスビーノ同市市長、岩崎秀樹同市議会議長らのほか、同州ブルメナウ在住で7月の県連日本祭りでミス日系に選ばれた中島マユミさんも訪れ、会場に花を添えた。
山本会長は挨拶で「高齢化や移住地人口の減少により年毎に開催準備が困難になってきている。会員の仲間たちは自分の仕事を何日も置いて、ようやく開催にこぎつけました」と述べ、会員ほか、開催に協力した市役所、州政府の関係者らに感謝の思いを述べた。
晴天に恵まれた2日目。自然に囲まれ、木々のそよぐ音が聞こえる様な会場に鯉のぼり、七夕飾りがなびき、正午ごろから来場者が詰め掛けた。そのほとんどが非日系人。
暑さと乾燥で開花が早まり、落花が懸念された山桜だが、見事な白い花で来場者を迎え、色とりどりのつつじも満開、ふじの花も同時に楽しむことが出来た。同地の移住者達が植樹し、丹精込めて育てたものだ。それらを眺め、カップル、家族づれたちが記念撮影を行っていた。
同地生産者らが出品した干し柿、椎茸、にんにく、梨「豊水」の瓶詰めなど、1200食分の食事は完売状態の人気。
舞台では世界大会出場選手も輩出する同地剣道部が登場。同部創設期から師範を務める尾中弘孝さんらが刃引きの刀を使い、型の披露を行うと、観衆は静まり返って視線を注いだ。
同じく舞台で見事に三味線を演奏したモンフェル・ナチ・セルジオさん(25、クリチーバ)は日本の伝統文化を好み、流ちょうに日本語を話す。初めて同祭でラーモスの桜を見て、「普段見られないこの白い花が綺麗で好き」と話した。
会場の一角に建てられた茶室では一席設けられ、山本会長の妻純子さんが点前を披露し関心を呼んだ。
会場から少し離れたところにある観光物産館「八角堂」は、日本政府の草の根無償資金協力を受けて建設されたものだ。祭りの間は雛人形、盆栽、日本の建造物の模型、碁盤などが展示され注目を集めていた。
フィナーレには浴衣に着替えた30人ほどの来場者、ミスらが盆踊りを披露。「よいしょ!よいしょ!」と掛け声とともに、餅つきなども行われ、日本の年間行事を集約し、広く日本文化を紹介する祭りとなった。