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ドウラードス=汚職市議の顔に怒りの靴=議会参集の市民の面前=「受取れ泥棒!」怒声と共に=犯人は病気の娘持つ市職員

ニッケイ新聞 2010年9月11日付け

 9月1日に正副市長や市議会議長ら28人が汚職で逮捕されたマット・グロッソ・ド・スル州ドウラードス市で9日、市議会再開直前に汚職議員の顔に靴が投げつけられるという事件が発生し、市議会再開は13日に延期となったと10日付伯字紙が報じた。

 州内第2の町ドウラードスをひっくり返すような大捕り物となった「ウラガノ作戦」は、市通信局長からの通報を受けた連邦警察が5月から捜査を進めていたもので、1日には、正副市長や市長の妻、市議会正副議長、検事長、複数の局長ら、28人が逮捕された。
 市議12人中9人が逮捕された市議会も機能停止状態だったが、逮捕後に身柄拘束を解かれた議員を含む4市議と補欠繰上げの市議1人により審議再開を図った矢先の抗議行動を受け、再開は13日に延期された。
 汚職市議襲撃は、再開議会を傍聴しようとして市議会場に来た市役所職員アダイウトン・デ・ソウザ氏によるもの。
 200人が傍聴可能な会場に市民300人が詰めかけ、緊張した雰囲気の中で点呼が行われた市議会では、議員入場と共に、汚職を皮肉る市民らが罵声や小銭を投げかけて抗議。この怒りを更に端的に表したのが、「受取れ泥棒!」の怒声と共に投げつけられたソウザ氏の靴だった。
 TVのアナウンサーが「ブッシュは避けたけど、汚職市議は避けられなかった」と皮肉った様に、議長代行のアウレリオ・ボナット氏の横顔にくっきりと跡が残るほど渾身の力を込めて靴を投げたソウザ氏は、「のどにしこりができて医者に診せたくても予約さえ入れられぬ娘がいるのに、奴らは市民の保健予算まで懐に突っ込んだ」事への怒りを抑えきれず、前記の行動に出たという。
 市議らの席に駆け寄ろうとした同氏はすぐ取り押さえられたが、会場の外も傍聴希望者が何十人も押しかけ騒動直前の状態だったというのは、保健、交通関係を中心とした市業務の請負業者が、受取った金の一部を還元するという形で起きた汚職に対する市民の怒りが収まってない証拠だ。
 業者との契約はほぼ無入札で決まり、業務請負の見返りに業者が還元する金を受取り、市長や議員らに分配する役が通信局長だった。
 市長や同夫人、市議らが札束を受取る様子は録画、放映されたが、業者が還元した金は市の支払額の1~5割。市長には月50万レアル、市議には月17万レアルといわれる見返り金は、選挙資金や資財購入にも当てられていたという。
 汚職に関係した局長や検事らの罷免と、市議らが指名、雇用登録した幽霊職員130人の解雇を8日付官報掲載の同市。9日には連邦警察が州検察局に容疑者60人のリストを提出したが、3権に及ぶ浄化には今後も大なたが振るわれる事になるだろう。