ニッケイ新聞 2010年9月15日付け
国中が熱狂している選 挙もあと2週間。サンパウロ市の有志により、連邦・サンパウロ州議候補者を集めて話を聞くイベントが先週末に文協で行われた。乱立する日系候補への票を何とか有効に活かしたい、通りそうな候補者に票を集中させたいという主旨には大いに共感を覚えた▼実際に演説を聞くと、政治経験の長い候補者の話には実に説得力がある。「初出馬した」という候補に比べて言葉の重みの差は明白であり、誰に入れれば有効かは明白だ。このような機会を作って、少しでも日系票の集中を図ろうという意図は大事だ▼ただし、このイベントがもっと早い時期、例えば8月ならもっと良かった。口コミでその風評を広めることが容易だった。それにオピニオン・リーダー(発言力のある人)30~40人の前でやるのではなく、大観衆の前でやった方が噂になりやすかった。それに11日の聴衆はオピニオン・リーダーというよりは、いつもの近在メンバーが多い印象・・・。次回の選挙では、幅広く州全体の日系団体代表に呼びかけるぐらいのことをやってもいい▼我々記者ですら、このイベントがあることを知らされたのは前日夕方だった。主旨が良いだけに、次はもっと人集めなどの準備に力をいれて欲しい▼近年、エメンダ・パルラメンタル(議員割り当て金)によって助けられている日系団体やイベントは実に多い。コミュニティが協力するからこそ、政治家は便宜を図る。昔のような日本政府の支援はもうありえない▼この地に深く根を張るべく、この国の権威筋に人脈を育て、制度を理解して身近に活用する方向性こそ、百周年後の日系団体のあり方ではないか。(深)