伯企業の悩みは人材確保=国際競争力向上に不可欠
ニッケイ新聞 2010年9月17日付け
IBMコンサルタント部門が2年毎に行っている調査によると、人材確保は伯企業の71%にとり最大の課題と16日付エスタード紙が報じた。
世界1500社の経営者に今後5年間の課題を訊いたもので、人材確保が課題と答えた企業の世界平均58%に比べて数値が高いのは、十分な知識や経験を持つ労働者不足が深刻なため。
不動産ブームで人手不足の建設業界は、砂糖きび収穫のための季節労働者までリクルートしているとの報道が最近あったが、ブラジルでは、頭数の確保だけではなく、質の高い労働者確保の必要が繰り返し言われている。
というのも、質の高い仕事が出来る人が不足すると、生産性と共に国際競争力も落ちてしまうため。国外に進出しようとする企業が語学力に長けた人材を必要とするのも一例だが、国外に留学した大学生や大学院生は留学先で就職する例が多く、質の高い労働者の養成や確保は管理職の頭痛の種。その意味では、最近は国内市場を目指す人材帰国が増えたという報道は明るい材料だ。
また、折角戦略を立てても、それを実行に移す人材はおろか、資財さえ不足という企業もある。質の高い労働者を見つけても、それを生かす設備や交渉術を持つスタッフの不足により、成果が挙がらない事もある様だ。
ただ、ブラジルの経済回復は順調なようで、市場の先行きに不安ありと答えたのは世界平均の65%に比べ41%。中級階級層拡大や所得向上、金利低下、国内消費加熱などで国際的な金融危機をいち早く抜け出した事を表す数字といえそうだ。
IBMによると、経済の回復や発展における政府や公団、公社の役割は拡大すると考える経営者は世界で70%、ブラジルで77%。経済が成熟してくると政府の干渉度が高まるというのだが、どこまでが適正干渉かの見極めも必要となってくる。