ニッケイ新聞 2010年9月23日付け
旅は私にとって精神の若返りの泉である―裸の王様、マッチ売りの少女などの著作で有名なデンマークの詩人・童話作家のアンデルセンはそんな言葉を残した。
確かに、と思う。旅は不思議なものだ。自身見知らぬ土地に行くと、一つ一つの細胞が活性化するように感じ、友と過ごす時間に彩りも加わる。
先週、伯日交流協会の中間研修に参加し、南マット・グロッソ州を訪れた。有名なボニートの川を下りながら、生まれ変わったような感覚を味わった。
どこまでも透けて見える水中を魚と同じ目線で共に泳ぐ。これまでに無い気分だった。
強い日差しの中を友と過ごし、疲れもあり不覚にも杯を傾ける間もなく床に就いてしまった。
アンデルセンは就寝中誤って埋葬されることを恐れ枕元に「死んでません」とメモを残していたという。「まだ寝たくない」という〃若返った心〃の声をメモにしておけばよかった。(秀)