ニッケイ新聞 2010年9月25日付け
米国で開催される2011年アカデミー賞の外国語映画部門に向け、文化省より任命された選考委員会はルーラ大統領の自伝「ルーラ、ブラジルの息子」(ファビオ・バレト監督)をブラジル代表作品として選出することを全会一致で決定。貧しい一人の少年が苦労して成長を重ね、一国を支えるまでになった真のサクセスストーリーでアメリカ人の審査員の心をも掴みたい。24日付伯字紙が取り上げた。
アカデミー賞外国語映画部門へブラジル映画を出展するのは、今回が3度目。以前には、同監督の「O Quatrilho」(1996年制作)と同監督の兄弟ブルーノ・バレト氏が手がけた「Que E Isso、Companheiro?」(97年)が、ファイナリスト5作品にまで残っている。
今回の選考に政治的な意図はなく、「シッコ・シャビエル」や「Nosso Lar」を含む22作品の中から公平に選ばれた。他の部門の審査では興行収入などが加味されるが、外国語映画部門に関しては芸術性の高さ、文化的な影響力が大きなポイントになる。前年度受賞作品の傾向を考慮して吟味された。
作品はルーラ大統領が育った故郷の地など、実際の現場で撮影されており、大統領の半生をリアルに写し出す。シネマ・ノーボの様相を持つ。選考委員の一人タタ・アマラル氏は、「ルーラ大統領は全世界の関心を集める人物。彼以上に名の知られたキャラクターは他にないはず」と、映画の影響力においてのルーラ人気を重視する。
プロデュ―サーのルイス・カルロス・バレト氏は、「この映画は真のサクセスストーリーとして、アメリカ人の心にも深く訴えかけることができるはず」と確信を示している。
また、南東部へ移り住み、女手一つで息子たちを育てあげるルーラの母親役を力強く演じた女優グローリア・ピーレスさんには、アカデミー助演女優賞へのノミネートの期待もかかっている。
今後は来年1月25日にファイナリスト5作品が発表され、2月27日にロサンゼルスで受賞式が開催される。同作品は映画館に延べ110万人を動員。11月にはDVDが発売される予定だ。