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トカンチンス判事が報道規制=84の新聞やラジオ対象に=現知事らの情報掲載禁止=サンパウロ州検察の汚職告発受け

ニッケイ新聞 2010年9月28日付け

 サンパウロ州検察局が20日に高等裁判所に送付したサンパウロ州内外での組織的汚職告発文書の中に、トカンチンス州のカルロス・ガギン知事の名前も含まれていた事で、知事再選を目指す同知事絡みの報道や対立候補からの批判が相次ぎ、同州選挙裁判所判事が、84の報道機関に対し、事件関連の記事の掲載を禁じたと27日付伯字紙が報じた。

 サンパウロ州検察局が捜査していたのは元々はサンパウロ州内11の市町村が絡む事件。検察の最大標的は、ロビー活動をしていたとして捜査線上に浮かんできたマウリシオ・マンドゥカ容疑者で、同氏はガギン知事の友人。知事夫人の兄弟で企業家のドゥーダ・ロドリゲス氏の共同経営者でもある。
 マンドゥカ容疑者は、4月15~27日に中国と米国を訪問したガギン知事一行にも同行した人物だが、サンパウロ州検察局が銀行口座やメール、通話内容などを洗い直す中、多数の政治家や公務員らが同氏絡みの汚職に関与している事が判明。共に犯罪組織に加わっていたとされる企業家のジョゼ・カルロス・セペラ容疑者と共にガギン知事らにも取り入っていた様だ。
 ガギン知事は、州議会議長だった09年9月、選挙裁判所によって職責を剥奪されたマルセロ・ミランダ前知事の後任として知事に就任。民主運動党(PMDB)所属の知事候補として、ルーラ大統領やジウマ候補からも支援を得ていた。
 マンドゥカ容疑者が不正入札などで横領したとされる金額は6億1500万レアル。ガギン知事には、同州での下水道工事関係の大型商談を有利に進め、承認前の計画への公的資金払出しを行った疑いが掛かっている。ペルナンブコ州のエドゥアルド・カンポス知事やPMDBのロメオ・ジュカ上議らに同容疑者を紹介したのも同知事だ。
 サンパウロ州検察局の書類送付を報じたのは20日付エスタード紙だったが、その後も同事件関係の報道を繰返す同紙は、トカンチンス州選挙裁の報道規制対象の一つ。大半の新聞やラジオ、サイトは同州内のもので、連邦検察庁同州支部担当者の理解では、報道規制は同州内でのみ有効だという。
 規制されたのは、知事も含む州政府関係者やマンドゥカ容疑者らに関する報道で、同判決を言い渡したリベラト・ポヴォア判事の妻と姑は、ガギン知事により州政府要職に任じられている。
 ガギン知事の知事選出馬を報じるインターネット用プログラムを準備したりしたのもマンドゥカ容疑者だと26日付エスタード紙が報じるなど、事件と同知事を結びつける報道が重なる中で出された84機関にも上る報道規制は、法律の専門家もこんな事を許せば全国の報道機関の規制に繋がると驚くような暴挙だ。また、一連の報道に名前が出てきたペルナンブコ州のカンポス知事は、26日に行われた知事選候補者の公開討論会に欠席したという。