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最後の悪あがきの知事候補=夫が身を引き妻が出馬=ロリス氏にラゴ氏続く?=最高裁での判断が待てず

ニッケイ新聞 2010年9月30日付け

 選挙高裁からのフィッシャ・リンパ法適用を受けて知事選への立候補を取り消し、妻が代理出馬をというケースが投票日間近になっても起きそうだと29日付エスタード紙が報じた。同法適用に関する最高裁審議の朗報が期待できそうも無い状況での最後のあがきを有権者がどう見るかは、10月3日の投票結果に表れそうだ。

 夫の代わりに妻が代理出馬というのは、24日に連邦直轄区知事選出馬を取り消したキリスト教社会党のジョアキン・ロリス氏と妻のウェスリアン・ロリス氏の事だが、今になって代理出馬の可能性が取り沙汰されているのは、マラニョン州のジャクソン・ラゴ元知事(民主労働党)と妻のクライ・ラゴ氏だ。
 F・リンパ法の国会通過の時から同法適用対象の1人と見られていたラゴ氏だが、選挙戦最終節での代理出馬は、対立候補にとって絶対有利のもうけ話といえる。
 F・リンパ法は今年の選挙から過去に遡って適用との選挙高裁判断を知りながら立候補し、出馬取り消しを言い渡された候補者にとり、最高裁が同法適用は2012年選挙からとの判断を下す事は選挙戦継続への必須条件だが、24日の最高裁が同法審議を先延ばしした事で状況が変化した。
 22~24日の15時間にわたる審議の末、5対5の同数となった最高裁が、F・リンパ法適用時期に関する結論を先延ばししたのを受け、審議の発端となったロリス氏が知事選出馬を取り消したのが24日。
 この時点で同件審議は中断されてしかるべき状況だったが、他の候補者にも同法適用時期についての判断を適用すると決めていたため、29日に再審議と決まったのも24日の事だ。
 しかし、審議再開が近づくにつれ、同日の審議はロリス氏の上告審議中断を確認の上、短時間で終了との見方が強まっており、選挙高裁長官で最高裁判事でもあるリカルド・レワンドウスキ氏は29日朝、「自分の考えでは選挙高裁の判断は今も有効で、F・リンパ法により出馬資格を問われた候補者は当選しても就任できない」との見解を明らかにしている。
 24日の出馬発表時も報道陣とのやり取りはロリス氏に任せていたウェスリアン氏は、28日の知事選候補者の公開討論会でも十分な受け答えが出来ず、付け焼刃のもろさを露呈。老練の夫を支えてきた人だから経験不足はないとの選挙参謀の言葉は覆された。
 一方のラゴ氏の出馬取り消しと妻の代理出馬は対立候補達も望んでいるものの、選挙検察庁が28日にウェスリアン氏の立候補を認めればラランジャ候補擁立を認める事になるとの見解を選挙高裁に提出との同日付サイト記事から見て、クライ氏の代理出馬が可能かどうかさえ疑問だ。
 法の間隙をつく何でもあれの手法が国民の審査に耐えられるか否かは、近日中に判明する。