ニッケイ新聞 2010年10月1日付け
9月29日午前11時47分、サンパウロ州エンブー・ダス・アルテスの私立校アドヴェンチスタ学校の教室で、4年生のミゲル・セスタリ・リシ・ドス・サントス君(9)が何者かに銃で撃たれ、すぐに隣町の病院まで運ばれたが、間もなく死亡した。目撃者がおらず、銃器も見つかっていない。警察は、誰もいない教室で起こった謎の事件の解明を急いでいる。9月30日付伯字紙が報じた。
事件当時、ミゲル君のクラスメート37人は、授業後の屋内活動終了間際だった。1人で教室へ物を取りに戻ったミゲル君は、至近距離から何者かに銃で撃たれた。爆発音のような物音を聞きつけ教師2人が他の教室から駆けつけ、床に倒れているミゲル君を発見した。ミゲル君は打たれた衝撃で窓ガラスに頭を強打、床には割れたガラス片が散乱していた。
教師らがすぐさま隣町タボン・ダ・セーラの病院へとミゲル君を搬送し、約1時間にわたって手術が施されたが、午後1時15分死亡が確認された。銃弾は左のわき腹から右の腎臓付近まで達しており、出血多量のショック状態だった。発見時、ミゲル君に意識はあったが、事件については何も話していなかったという。
事件に使用された銃器は、現場には残されていなかった。ミゲル君の叔父エルヴィオ・エドゥアルド・パイヴァさんが、ミゲル君よりクラスメートの一人が拳銃を見せるために持ってくると聞いていたことから、警察では、生徒が自宅から持参した拳銃による発砲事故だったという見方を強めている。
一方、教師や学校関係者が明るい性格で校内に友達が多かったというミゲル君だが、クラスメートによれば、当日は、ケンカをしていたクラスメートの〃アメリカ製爆竹〃を使った悪ふざけの対象にされた、といった証言も出ている。具体的な生徒の名前は挙げられていない。また、生徒の何人かは教室内で拳銃を目にしたと話している。
市警では、クラスメート全員の家庭を調査対象として、同日午後8時までに2軒を訪問したが、何も見つかっていない。正式な登録が行われていない銃器所持が疑われている。同校は、現場検証などのため10月3日まで閉講。校内に監視カメラは設置されていなかった。ミゲル君の遺体は30日午後埋葬された。