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トロッパ2ついに封切り=前作以上に困難な状況へ突入=海賊版対策も万全で無事公開

ニッケイ新聞 2010年10月12日付け

 ジョゼ・パジーリャ監督の映画「トロッパ・デ・エリッチ2」が8日ついに封切りとなった。公開直後の週末は多くの人が映画館に殺到し、当日のチケットを購入できなかった人もいたようだ。連日にわたり伯メディアが報じた。
 今作品では、ワグネル・モウラ演じる軍警特殊部隊(BOPE)大佐の主人公ナッシメントが州検察局の副局長に昇格し、軍服を脱ぎネクタイ姿で登場。政界に交わりながら、第1弾以上に複雑化した軍警内の汚職へと迫っていく。
 リオの治安を揺るがす問題は、麻薬組織の存在だけではないのが現状。同映画は、BOPE元大尉のロドリーゴ・ピメンタル氏や現職で軍警のアンドレ・バチスタ氏らが執筆した著書「エリッチ・ダ・トロッパ1、2」をもとに制作される。内容の9割が事実と明かされる同書と同様に、映画は地元警察が政治家や麻薬組織と連携を取り、町全体を支配している恐ろしい社会構造を浮き彫りにしている。
 今作では、ナッシメント以外に、メディアの観点からその腐敗した社会構造を暴こうと試みる一人のジャーナリストの存在が鍵となる。彼らは影の大きな犯罪グループに立ち向う中で政治が絡む複雑な組織の構造に気が付き始め、個人の力では太刀打ちできないことを悟っていく。そこには虚無感さえ覚えるような痛烈な作品に仕上がった。
 映画館に200万人を動員し話題を呼んだ第1弾だが、その公開前には大量の海賊版DVDが出回り、一部内容を変更するという前代未聞の事件が起こっている。今回の制作ではリオ、サンパウロ、パラナ、アメリカなどで撮影された各場面を公開直前まで繋ぎ合わせないといった、細心の流出防止策がとられた。
 また、8日にサンパウロ州パウリーニア市で行われた試写会でも入口に金属探知機を設け、上演中も赤外線レーダーを用いて録画機等の使用を全面的に監視するという厳戒体制が敷かれたようだ。
 パジーリャ監督によれば、第3弾の撮影予定はない。国内都市の治安問題提起を投げかける監督は「バス174」と「トロッパ・デ・エリッチ1」で「暴力を生み出しているのは我々の政治である」と腐敗した実情を描いており、トロッパ2はその原因に迫るものとなっている。最初の週末だけで最低125万人が鑑賞し、封切り直後の動員数5番目となった同作品は、3カ所に1カ所の割りになる、全伯636カ所の映画館で上映中。