ニッケイ新聞 2010年10月21日付け
『ブラジル香川県人会創立55周年記念式典』が17日、サンパウロ市ミランドーポリス区の同会会館で開かれ、母県から篠原公七県議会議長、井上秀基国際課主任を迎え、盛大に執り行われた。在聖総領事館からは小林雅彦首席領事、森口イナシオ援協会長、園田昭憲県連副会長、山下譲二文協副会長、県人会の代表ら多くの来賓をはじめ、会員、ゆかりの人ら約250人が節目を共に祝った。歴代14会長、5県知事らの写真が飾られた会場で藤本徹也会長は、「55年の歴史を築いてこられたみなさんに見守られ、これからもしっかり活動していきたい」と力を込めた。
1953年、香川県で移住協会(初代会長・金子正則知事)が発足、副会長で戦前から教え子を南米に送り出していた県立木田農業高校の今雪真一校長が、移住者の追跡調査を54年に実施する。
ブラジル9州のほか、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイにも足を延ばしたことを機に、55年にサンパウロ市で約60人が出席、香川県移住協会南米支部(後にブラジル香川県人会に改称)が創立される。
72年からは技術研修制度が開始され、現在までに109人が母県で学んでいる。
79年には現在の土地を購入、97年には現在の会館を建設した。会館内に金刀比羅宮を祀り、年大祭を開いている。
南米大神宮の逢坂和男宮司により午前10時から執り行われた『金刀比羅大祭』で玉串の儀などがあった。
式典に移り、日伯両国歌斉唱、先亡者に一分間の黙祷が捧げられた。
篠原県議会議長は、「県人同士が互いを思いやる気持ちは変わりない。今後も幅広い交流を続け、友好親善強化に努めたい」とあいさつ。
井上秀基国際課主任が9月に就任したばかりの浜田恵造知事の祝辞を代読した。続けて、小林首席領事ら来賓がお祝いの言葉を述べた。
研修生代表として、08年に県立保健医療大学で研修した生駒磨理さん(23、二世)は、「研修で得た臨床検査の知識が就職につながった」と謝辞を述べ、末永い制度の継続を願った。
高齢者表彰を受けた西丸俊子さん(81)は、「58年に来伯してすぐ県人会に入会した。やはり言葉が分からないので会の活動と邦字新聞は欠かせなかった」と記念品を手に笑顔を見せた。
事務局長を20年以上務めた夫の山下晴哉さん(故人)を陰で支えた妻淑子さん(91)も車椅子で会場に。
「県から届く郵便物を郵便局に取りに行くのが私の仕事。だけど受けとるのに手間取っていつも半日仕事」と振り返りながら、「当時県人会はお金がなくてね。大変だったけど、みんなで協力して色々やったもんです」と懐かしんだ。
会場を移して行われた祝賀会では、乾杯の後、ケーキカットも行われ、出席者らは舞台で披露される踊りや演武を楽しみながら、談笑し料理に舌鼓を打っていた。