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中傷や疑惑だらけの大統領選=セーラへの暴行は芝居?=ルーラ発言にPSDB反発=ジウマには水入り風船が

ニッケイ新聞 2010年10月23日付け

 リオ市西部カンポ・グランデで20日、民主社会党(PSDB)のジョゼ・セーラ氏が労働者党(PT)関係者から暴行を受けた事に対し、ルーラ大統領とジウマ氏が21日に「あれはセーラ陣営が仕組んだ芝居で同氏は嘘つき」と発言した事で、セーラ氏やPSDB側が反発。21日にはジウマ氏に水入り風船が投げつけられるという事件も起き、大統領選は禍々しさを増している。

 21、22日付伯字紙によると、20日のリオでの出来事は、セーラ氏の選挙活動を阻もうとするPT関係者とPSDB関係者のもみ合いの中で起きたもの。セーラ氏の頭に丸めた紙が投げつけられた約20分後、より重い粘着テープらしき塊を投げつけられたセーラ氏が頭に手を当てる様子は、テレビや新聞でも報じられた。
 PSDB側の苦情に対し、PT側から返って来たのは、自党関係者の非を詫びる言葉ではなく、ルーラ大統領やジウマ氏らの「リオの事件はセーラ氏の演技」で、「1989年のW杯地区予選のブラジル対チリ戦で、花火が当たったと嘘をついて退場となったチリ選手より悪質」との発言だった。
 これに対し、セーラ氏は「今回報道された出来事は実際に起きた事で、一国の大統領が暴力行為をかばう発言をするとは由々しき事」と発言。PSDB関係者からも、PTや大統領の対応に批判の声が上がっている。
 ルーラ大統領らがリオの出来事は芝居と決め付けたのは、SBTなどが流した映像には最初の紙つぶてが当たった場面しか写っておらず、約20分後にセーラ氏が頭に手を当てたのは、直前の電話で選挙参謀から暴行されたフリをしろと指示されたからとの情報も入ったからだという。
 一方、専門の鑑定士は放映された映像と別の記者が携帯電話で撮影した映像を分析。最初の紙つぶてでは特別な反応を見せなかったセーラ氏が頭に手をやった直前、明らかに別の物と判定できる物体が当たっており、2つの出来事には約20分の差があると明言。
 セーラ氏を診察した医師も「自分も嘘つきの片棒担ぎにされた」と憤慨しつつ、「外傷はなかったがこぶができていたため検査した上、予定を中止して休息するよう勧めた」と述べている。
 セーラ氏やPSDB幹部は「真実の事件も演技だという党ならどんな事も演出できる」と発言。PTが、ジウマ氏の選挙参謀がPSDB関係者の個人情報を不正な方法で入手したとされる事件をPSDBの候補者争いの一環で、エレニセ・ゲーラ元官房長官は大統領府内の別の組織に絡む汚職にも関係しているとの報道は選挙妨害と決め付けた事などを皮肉った。
 21日のパラナ州クリチバ市での、ジウマ氏に水入り風船3個が投げつけられるという事件の主は、PSDB関係者との憶測も広がっている。風船は誰にも当たらなかったが、割れ散った水で何人かが濡れたようだ。