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新政権の組閣作業始まる=PT独走でPMDB苦言=テメル氏取込み収集図る=大統領専用機でも話合い

ニッケイ新聞 2010年11月4日付け

 労働者党(PT)のジウマ・ロウセフ氏による新政権が来年1月1日に発足するが、決選投票から一夜明けた1日、ジルマ氏とPT関係者のみが組閣について話し合った事で、最大連立与党の民主運動党(PMDB)が不満を表明。PT側は副大統領に就任するミシェル・テメル氏をメンバーに加える事で収集を図り、来週から本格的な組閣作業に入ると2~3日付伯字紙が報じた。

 1日の時点でつんぼ桟敷に置かれて苦言を呈したPMDBをなだめるため、エドゥアルド・ヅットラPT党首がテメル氏と夕食を共にしたのは2日。テメル氏はコーディネーター役を務めるが、作業の主力は、PTのヅットラ党首、アントニオ・パロッシ下議、ジョゼ・エドゥアルド・マルティンス・カルドーゾ下議の3人のようだ。
 ジウマ氏が組閣作業の中心メンバー4人の名前を発表したのは2日午後。組閣作業メンバーには既に39人が選ばれ、最終的には50人での作業になるという。
 組閣作業の中には、現閣僚から情報を収集し、新政権発足直後に扱うべき課題を洗い出す事なども含まれるが、組閣作業には、新政権の組織編制の検討なども必須だ。
 例えば、14年のサッカーW杯や16年のリオ五輪前の空港整備を急ぐため、国防省に属する空港インフラ業務公社(インフラエロ)を交通省の下に移す場合、新交通相には、ルーラ大統領が留任を進言したエンリケ・メイレーレス中銀総裁が就く可能性もある。
 新しく発足予定の中小企業省などのポストも含む組閣作業には連立与党との交渉も不可欠で、閣僚数の現状維持を要求するPMDBやPMDBと同数を要求する構えの社会党(PSB)など、史上最高の10政党との交渉の責任者はヅットラ党首だ。
 なお、ルーラ大統領が官房長官にとの意向を示したパロッシ氏については、ジョゼ・ジルセウ氏の二の舞を踏まぬよう、保健相にとの声が高まっている。
 現政権から引き継ぐ初年度の借財は、09年までに承認されたり今年10月までに支出予定だった投資の未払い分だけで520億レアル。
 司法や検察庁関係の給与調整が要求通り承認されれば更に60億レアルの支出増となる他、最低賃金の算出方法改定で、12年までに設定された最賃引上げを前倒しする意向も表明したジウマ氏が、どの部分の経費を削減して予算を捻出するかは注目される点の一つ。新政権発足直後に緊縮財政を強いて国民の不満を煽る危険を避けるには、ルーラ政権中の経費削減なども必要だ。
 ルーラ大統領は11、12日に韓国で開催されるG20サミットにジウマ氏を同伴する予定で、モザンビーク訪問も含む大統領専用機での旅は、組閣などについて膝を突き合わせて協議する場となると見られている。

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