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「進取の気風」を日本の若者に=鹿児島大学同窓会が発足=「架け橋」友好大使も任命=来年から学生研修を

ニッケイ新聞 2010年11月5日付け

 鹿児島大学のブラジル同窓会が正式に発足することが決まり、10月24日午後、吉田浩己学長らを迎えサンパウロ市パカエンブー区の鹿児島県人会館で記念式典が行なわれた。同大の学長がブラジルを訪れるのは初めて。発足にあわせ、6人が「鹿児島大学友好大使」に任命された。同大では早ければ来年から学生や教師のブラジル研修を実施したい考えだ。

 同大からは吉田学長ほか、国際戦略本部の加藤泰久教授、原口泉法文学部教授と、同窓会発足のきっかけを作った高原要次さんが来伯。当日は県人会関係者ほか、マナウスやポルト・アレグレなど遠方を含む各地から26人のOBが訪れた。
 1773年設立の藩学造士館を起源とする同大学。旧制七高を経て現在は8学部10大学院に1万2千人の学生を有し、約2000人の留学生が学んできた。
 吉田学長は07年に就任後、「鹿児島大学憲章」を制定し、「『進取の気風』を有する人材育成」を目標に掲げる。学長はこの気風をもって幕末、明治以降の近代化に役割を果たした同県人、さらに海外移住者の苦闘と成功に触れ、「先人たちの偉業を現代の若者に継承したい」と同窓会を通じた今後の交流深化に期待を表した。
 同大は「環境」「島嶼」「食と健康」の研究を特徴に、米サンフランシスコの「北米教育研究センター」や、中国東北大学と共同で行なう砂漠緑化プログラムなどを通じ、学生の研修事業も進める。各国の留学生OBを通じた海外ネットワーク構築もめざしており、学長はブラジルを拠点に南米での交流・連携事業を進めていく考えを示した。
 留学生OBを代表して挨拶した内村カチア明美さんは、それぞれが日本で学んだことが「現在の仕事に生かされている」と感謝し、制度の継続を要望。同大とブラジルの交流についても「私たちにできることがあれば協力したい」と話した。
 出席したOBらが一人ひとり自己紹介した後、同大のブラジルへの紹介、橋渡し役となる「友好大使」に園田会長、吉田治美、野沢弘司、本間昭一郎、松村滋樹、加賀城中村ライスりつの6氏が任命された。
 代表して挨拶した吉田さんは自身がセラードで仕事をしていた経験を紹介しながら交流に期待を表し、若い世代に「OBの志をついで大学のためがんばってほしい」と述べた。友好大使にはこのほか、リオの月野秀雄さん、パラグアイの園田八郎さんも任命されている。
 学長らに感謝プレートを贈呈後、小森広相談役の発声で乾杯。食事をとりながら4時ごろまで歓談した。
 友好大使に任命された加賀城さん(62、二世)は73年に県費留学して教育を学んだ。留学時、恩師の大山正信氏から「子供は機械じゃない。どうやって式を導くのかを教えなさい」と教わったと振り返る。帰国後は長年ソロカバの州立校で数学教師として勤務、教え子が留学の夢を叶えたといい、「留学のおかげです」と喜んだ。
 吉田学長は「困難に挑戦する人材を育てるには、先輩の応援が必要。この機会に同窓会ができたことは嬉しく、心強い」と喜ぶ。園田会長も「大学側の気持ちを感じる。会としても積極的に側面支援ができれば」と意気込みを見せた。
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 翌25日には吉田学長ら同大関係者とサンパウロ大学、サンカルロス連邦大学の関係者と約3時間の意見交換が行なわれた。吉田学長は「確かさを感じさせる話だった。出発点としては良い意見交換ができた」と手ごたえを語り、「できれば来年度から低学年の学生を対象に教育交流を進め、将来的には森林保全など環境問題についての共同研究もできたら」と抱負を語った。