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第40回山本喜誉司賞=香林、結城、瀬良3氏に=故広本ダリオ氏に感謝状=授賞式は文協で26日

ニッケイ新聞 2010年11月6日付け

 農業分野に貢献した日系人に送られる「山本喜誉司賞」の受賞者が発表された。同賞選考委員会(高橋一水委員長)の厳正な選考により、香林昭司(グァラサイ)、瀬良積(ロンドリーナ)、結城篤志(カンピーナス)の3氏が選ばれた。麻州の大豆、綿生産に寄与した広本ダリオ氏(故人)に感謝状が贈られる。授賞式は26日午後7時から、文協貴賓室で開かれる。

【香林昭司】
 1940年サンパウロ州グアラサイ生まれ。長年アバカシー栽培を営むと共に、グアラサイ・アバカシー生産者協会を創立した。
 生産者の研修会でスムース・カイエン種と独自の技術を周辺農家に普及させ、地域産業として確立させる。現在、同地の生産量は、サンパウロ州の7割を占め、カピタル・ド・アバカシーと呼ばれる。
 グアラサイ農村シンジケート、グアラサイ、フォルモーザ両日本人会会長、またグアラサイ・アバカシー協会、サンタ・カーザ病院の会長職を歴任した。
 イタリア、ドイツ、沖縄を視察し、輸出の道を開くため、日夜努力を重ねている。
【瀬良積】
 パラナ州生まれ。パラナ連邦大学、ルイス・デ・ケイロス農大卒。植物の品種改良で博士号。
 01年には農務省の農業生物資源研究所放射線育種場で、植物の突然変異による品種改良を研究した。
 現在住むロンドリーナ市では、パラナ農業試験場(IAPAR)の専門農業技師としてコーヒーの品種改良に取り組むと共に、ロンドリーナ総合大学で教鞭を取る。
 09年にはパラナ州良質コーヒー生産者として表彰された。
 最も大きな貢献として、コーヒーのサビ病、炭素病、立ち枯れ病(ネクローゼ)、線虫に対する13種類の抵抗性品種を作り、国内に普及させたことが挙げられる。
【結城篤志】
 71年にルイス・デ・ケイロス農大を卒業、同大で修士、博士号。
 85年、JICA研修で神戸大学に学ぶ。サンパウロ州カンピーナス市に在住し、カンピーナス農業試験場(IAC)の研究員を務めた。
 専門は作物病理学。ビールスに対する研究ではブラジルの第一人者とされる。
 アブラムシが媒介するビールス病の研究、最初に穂木に温度処理をし、レモン・タイチーのビールス・フリー苗の作成に成功する。
 この技術は他の柑橘類にも応用され、改良されながら、スイカ、メロン、アルファッセ、マラクジャ栽培に貢献する。
 最近では、花卉類にも応用され、温度処理と細胞分裂組織の併用による紫陽花のビールス・フリー株を作り出し、汎ヅットラ花卉生産者協会(AFLORD)の生産者に大いに貢献する。

故広本氏に感謝も

 広本実ダーリオ氏は、63年パラナ州生まれ。ルイス・デ・ケイロス農大を卒業、遺伝学と栽培技術改良で博士号。
 その後、マット・グロッソ州ロンドノーポリス市のブラジル農牧研究公社の大豆部門で約10年間勤務する。
 93年には、マット・グロッソ州とセラード地帯における大豆栽培の将来性を予見し、23人の生産者と共にマット・グロッソ農牧研究支援財団を創立する。
 同財団では、遺伝子組み換えによる土地に適した病気や線虫に強い品種や除草剤(Glifosato)の抵抗性品種、茎のカンクロ耐病性の品種に貢献した。
 綿作でも主要な病気の耐性品種を遺伝子組み換えにより創出し、マット・グロッソ綿作栽培の主要品種となる。
 09年に46才で亡くなった際、マット・グロッソ州知事から感謝の言葉が贈られている。