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政治や事業に汚職は付き物?=バイア州で7市長逮捕=関係者の捜索は20市で=一向に透明度上がらぬブラジル

ニッケイ新聞 2010年11月12日付け

 連邦警察が10日、バイア州での広域汚職に関係した7市長ら43人を逮捕したと11日付エスタード紙が報じた。10日付サイトやテレビでも報道された事件は、州内20市をまたにかけた大規模なもので、国からの補助金横流しなどで動いた金は6千万レアルに上ると見られている。

 連警が検察庁や国庫庁(CGU)と共同で進めていたカルカラ作戦は、学校給食その他の入札を食料品流通会社のススターレ社などが不正に取り仕切っているとの通報を受けた1年余り前から始まった。逮捕された43人の他、容疑者3人の捜索を継続中だ。
 10日朝からの一斉捜査に動員された連警係官は450人。20市にまたがる捜査では、犯罪組織リーダーと見なされているススターレ社のエジソン・ドス・サントス・クルーズ社長の他、アラツイーペ、カファルナウン、イタチン、レンソイス、エリージオ・メドラド、サンタテレジーニャ、ウチンガ各市の市長、局長その他の公務員も逮捕された。
 連警捜査官によると、ススターレ社などが組織したグループは、組織未加入の企業が学校給食や医薬品購入、公共工事請負などの入札参加を試みると賄賂を渡して参加を諦めさせる事で、組織加入企業のみでの入札を繰返し、関連会社に便宜を計っていたという。不正入札などは広範囲で組織的に行われ、支払請求には水増しした偽造書類も使われていたという。
 事件の全容解明には時間を要するが、不正な金の動きは連警が捜査していた1年余りで6千万レアルに上り、それ以前に遡った捜査が行われれば横領額は更に増大すると見られている。
 今年の大統領選が決選投票に至った一因は、エレニセ・ゲーラ元官房長官絡みの汚職事件が表面化した事だが、昨年の政界を揺るがした連邦直轄区での民主党メンサロン事件では、アルーダ元知事が現職知事として初めて逮捕されるなど、政界や財界を巡る汚職事件は後を絶たない。
 10月27日付フォーリャ紙などには、ブラジルは汚職の世界ランキングで178カ国中69位となり、順位は改善したが、評価点は3・7で、政治の透明度では落第国家との報道が繰返された。
 0から10で評価したランキング1位は9・3のデンマーク、ニュージーランド、シンガポールで、最下位は1・1のソマリア。5以下は落第の烙印が押されるが、今年の評価は05年の労働者党メンサロン発覚時と同じだ。ルーラ大統領が「反吐が出る」と表現した汚職は、政権中に実態悪化とのコメントも出ているが、政権終了間際にも汚職事件報道が続いている。