ニッケイ新聞 2010年11月12日付け
ブラジル沖縄県人会(与儀昭雄会長)は7日、同会としては初めてとなる会員高齢者のカジマヤー(数えで97歳)祝いを同会館で開いた。一回目ということで、今年は97歳以上の高齢者全員を対象に実施。該当者31人のうち、数えで104歳の前田セイさんを最高齢に5人が元気に会場を訪れた。当日は「第6回ウチナー芝居」も合わせて行なわれ、150人ほどが来場した。
同祝いは、今年の県人会定期総会でサントアンドレー支部が提案したもの。該当者のうち、今年107歳の上地マツさんを最高齢に100歳以上は9人。当日はサンパウロ市ほか、カンポ・グランデやマリリアから訪れた人もあった。
会場には、方言で「花のカジマヤーをお祝いしましょう 皆でそろってあやかりましょう」と書かれた横断幕が飾られた。しっかりした足取りで舞台に上がった高齢者らを前に高安宏治実行委員長は、「皆さんが県系社会のために働き、現在のブラジル社会での地位がある」と感謝し、「これからもますます元気に、100歳、120歳まで後輩のため長生きしてほしい」と祝った。
与儀会長は、「来年もやるので、96歳の皆さんは元気で楽しみにしてください」と挨拶。「子や孫、ひ孫に囲まれ、明るく楽しくいつまでも元気でおられるよう祈ります」と述べた。
本人5人と7人の代理出席者に与儀会長から感謝状と記念品を贈呈。記念のケーキを前に会場全体でパラベンスを歌い、前田さんがナイフを入れた。マリリアから訪れた松本ヨシさん(96)が代表して「皆さんの健康と幸福を祈ります」と謝意を表した。
松本さんは33年に花嫁として渡伯。リンスからマリリアへ移り洗濯屋やバールを経営したが、夫が45歳で亡くなった。松本さんは37歳、娘は7カ月だったという。女手ひとつで5人の子供を育て、「バールやフェイラ、縫い物、色々やりましたよ」。「(戦中の強制立ち退きで)サントスから来た人もたくさんいました。皆さんよくしてくれましたよ」と振り返る。
現在は孫14人、ひ孫9人に囲まれる松本さん。「今は仕事がないから。花に水をかけたりしてますよ」と笑顔で話し、「今日は皆さんに祝ってもらってありがたい」と微笑んだ。
104歳の前田セイさんは、松本さんと同じ沖縄県大宜味村出身で、同じ船で移住。車椅子で出席した花城淑子さん(103)の席に歩み寄り、再会を喜んでいた。
10人以上の孫、ひ孫。家でテレビを見ていることが多いというが、「今でもご飯は欠かしませんよ」と元気な様子。「子供たちも皆近くに住んでいるし、とっても幸せですよ」と話した。
続いて「第6回ウチナー芝居」が開催され、具志堅シゲ子実行委員長は、「故郷の雰囲気を堪能できる一日になるよう心がけてきた。カジマヤーの表彰もあり、お年寄りにも芝居を見てもらえる絶好の機会。楽しんでもらえると思う」と挨拶。
舞台では琉球舞踊協会の舞踊劇、斉藤悟道場の歌劇や、喜劇、琉球民謡などが次々と披露された。ウチナーグチ(沖縄方言)のスピーチには3人が参加、うち2人は二世で、敬老の気持ちの大切さや自身の人生など、会場の笑いを誘いながらお国言葉で話した。
パウリストンにも出場した国吉メリッサさん(7歳)も「瀬戸の花嫁」を歌い、その見事な歌声に盛んな拍手が送られていた。
JICAシニアの与古田徳造さんも出演、最後はカチャーシーで終了した。