ニッケイ新聞 2010年11月17日付け
米加州の自然保護団体が北米最初の日本人植民地「若松コロニー」を保存のため買い取ったという。同地は戊辰戦争で破れた旧会津藩出身者が入植し、数年で消えた植民地。同団体は北米最初の英国植民地に匹敵する歴史と話しているそうだ。
ブラジルでも州文化財のア・マッシャード日本人墓地や、最近では初期移民の建物が連邦歴史遺産に認定された桂植民地など、保存の手が伸びるコロニア史跡もある。でも多くは忘れられ、または地元有志の心意気が支えているのが現状だろう。
ニュースを見て、以前譲渡の話が出た旧グァタパラ耕地のことを思い出した。資金面から止まったままだが、今ある旧コーヒー精製所や映画館跡など、日本移民が暮らした痕跡は時と共に消えてしまうのではないか。
北米では日本移民に縁のない団体が動いた。ブラジルではどうか。その史跡について知る人が残る今のうちに、日系社会として動くことも必要かもしれない。(ま)