ニッケイ新聞 2010年11月26日付け
独自の変容を遂げつつあるブラジルの日本食。数年前にスシポリスが国際的批判を浴びたように、味はさておき、違いをあれこれいうのはもはや野暮だろう。
さて。海苔を内側に裏巻きし、カニカマやゴマを使うカリフォルニアロールという寿司の話。
海苔と生魚が苦手なアメリカ人のため、ロサンジェルス・リトル東京のレストランで開発されたとされる。
先日、サンパウロ市内の店で頼むと、マンゴー入りのものが出てきた。一緒にいたのが、ちょうどロスから来た親戚だったので意見を求めてみた。
「これは別物だ。アボガドが入っていなければならない」とその定義を語ったうえ、「寿司に合わない」と丁寧に取り外しだした。
皿に乗った黄色いマンゴーを見ていると「黄禍」という言葉が頭に浮かび、思わずニヤリとさせられた。(剛)