ニッケイ新聞 2010年12月3日付け
最多得票で連邦下院議員に当選しながら、文盲の可能性が取り沙汰されて選挙法違反に問われていたチリリッカことフランシスコ・エヴェラルド・オリヴェイラ・シウヴァ氏に、1日、サンパウロ選挙裁判所から無罪判決が下った。選挙法では文盲に被選挙権が認められていないが、チリリッカのような半文盲は当てはまらないと結論された。2日付伯字紙が報じた。
先月11日に同裁判所で行われた書き取り、読解を含む識字テストの結果から、法廷は困難を伴いながらも一応読み書きできたとし、半文盲と判断。裁判を担当するセルジオ・レゼンデ・シルヴェイラ判事は「完全な文盲には被選挙権が認められないが、半文盲は含まれない」との結論を下し、無罪を言い渡した。
同判事は、その判決に至った理由として「ブラジル国民の平均的な教育レベルを考慮せずに半文盲をも含めれば、被選挙権により大きな制限を加えることになりかねない」と指摘している。
そのほかに挙がっていた、選挙裁判所への候補登録での資産申請の偽装については、証拠不十分と見なされた。検察庁では今後、控訴を行う可能性も示しているが、チリリッカには今月中にも連邦下議就任の認可が下りる予定となる。
一方、こういった動きから児童の識字教育にも懸念の目が向けられている。エスタード紙では、初等教育3年生の8歳児を対象にした識字テストが新設されると紹介された。これは、教育省の教育研究院(INEP)や教育機関Todos Pela Educacaoなどの協賛で進められるプロジェクト。後者の団体の目標の一つは、8歳までの読み書き能力習得だが、従来、その年代の児童の読み書き能力を測る試験はなかった。
今回新設される試験は成人向け識字レベル測定テストINAFの児童版で、INAFINHOと呼ばれ、内容にはポルトガル語、算数、作文などが含まれる。初回は、2011年の授業開始から2、3週目に500校で試験的に行われる予定。
児童の学習状況は家庭の収入と大きく関係しており、家族1人あたりの収入が最低賃金4分の1未満の家庭では、初等教育3年生までを順当な年齢で終了している子が43・9%。1人あたりの収入が5最低賃金を上回る家庭の子供では80・4%となっている。