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いずこに消える庶民の血税=悪徳議員は公金で太る?=2千%増の観光企画経費=お手盛り給の体質も不変

ニッケイ新聞 2010年12月11日付け

 【既報関連】来年度予算案報告者だったブラジル労働党(PTB)のジム・アルジェロ上議が、架空団体を利用して公金を横領していた疑いで報告者の任を降りた後、他の議員達も同様の手口で公金を懐に入れていた可能性が高まり、観光省などが議員立法による公金支出を制限する事を決めたが、終了直前の国会では60%台の議員給調整の予定など、緊縮財政の掛け声とは裏腹な公金支出の動きも見えている。

 公金横領などに係わった議員は複数いる可能性が高い事を示しているのは、当初予算では3250万レアルだった今年度の観光省イベント関連経費が、議員提出企画577件の承認により、2351%増の7億9880万1千レアルに膨れ上がっているという9日付エスタード紙の記事。
 承認された577企画は、下議524人と上議47人ならびに委員会他提出のもの。その全てが不正請求ではない筈だが、10日付エスタード紙が、04~09年の観光省関連企画で請求された公金中、1億1500万レアルは不正な金との報道なども鑑みて、アルジェロ上議だけが公金横領とは考え難い。
 観光省ほどではなくても、下議207人と上議50人などが提出して承認された258件の企画への支出で、当初予算の1億1694万1千レアルが235%増の3億9151万6千レアルに膨れ上がった文化省関連のイベント経費も、汚職につながるものを含んでいる可能性が高い。
 議員自身が経営・統括する団体や企業の公金支出は禁じられているが、会計検査院(TCU)や国庫庁、国税庁がどれだけ監査を強化しても、親族や友人、架空の名義まで利用した企画を全てはじく事は難しく、政府や両院予算審議会は観光、文化関連の議員企画の差し止めや同種企画への公金支出停止を決めた。
 一方、次期政権は緊縮財政とのギド・マンテガ財相発言で行方が案じられる最低賃金は、約6%調整され510~540レアルとなるとの見方が強いが、国会では来週、議員給と大統領給を26723・13レアルに引き上げる(61・8%と133・9%の調整)法案提出の予定と10日付エスタード紙が報道。
 5日付エスタード紙によれば、06年は80万レアルだったアルジェロ上議の個人資産は現在、時価最低600万レアルの豪邸など一挙に増大。同上議は不正入札や汚職など少なくとも2件の容疑で起訴されているが、正規給与に加え、汚職などで懐を肥やす悪徳議員の何人が重税に喘ぐ庶民の血税をせしめていると自覚している事だろう。