ニッケイ新聞 2010年12月15日付け
寒冷前線通過に伴い、13日午後、強い雨や風に見舞われたサンパウロ州では、サンパウロ市やカンピーナス市などの各地で被害が報告され、雨の季節到来を印象付けた。14日伯字紙によれば、サンパウロ市では70~80カ所で洪水が起きるなど、当局の対策の遅れは依然として続いているようだ。
13日未明の雨で倒木などの報告も出た後、再び強い雷雨に見舞われたサンパウロ市では、15時50分に全市に注意報発令。約3時間の雨で70カ所を超える洪水が起き、市内の幹線道路は156キロの渋滞を記録など、混乱は夜まで続いた。
今回の雨による被害が最も大きかったのは、月の半分近い雨が降り、16時から19時45分まで警報発令となったサンパウロ市東部ヴィラ・プルデンテ。プロフェッソール・ルイス・イナシオ・デ・アニャイア・メロ大通りではモオッカ川の水が溢れ、動けない車が列をなすなど、地区全域で大きな混乱が起きた。
サンパウロ市東部ではオラトリオ川も氾濫し、洪水頻発個所のアリカンドゥーヴァ大通りやアウカンタラ・マッシャード大通り(ラジアウ・レステ)でも道路の冠水が起きた。
セントロではバンデイラ広場やアグア・ブランカ、ラッパ、イピラプエラ地区、マルジナル・ピニェイロスでもオタヴィオ・フリアス・デ・オリヴェイラ橋の降り口付近などで水が溢れた。
また、倒木による電線切断などでトロリーバスの運行停止や停電が起きた他、コンクリート製のバス停が倒れ女性負傷などの報告も出ている。水面に浮かぶゴミをかき集め、少しでも水はけを促そうとする市民の姿も随所で見られたようだ。
また、カンピーナス市では、自動車販売店の屋根が落ち、車両や高さ4メートルのガラス破損などの被害。ジュンジアイ市ではバスターミナル、ソロカバ市では市議会の屋根がはがれ、リベイロン・プレットやバレットス、サンジョゼ・ド・リオ・プレットなどでも、川の増水や倒木、車が流されるなどの被害が相次いで報告されている。
また、年頭の大雨で土砂崩れの被害が続いたマウア市やイタペヴィ市では、今回も土砂崩れが発生し、家屋が倒壊。
17時15分から30分間閉鎖されたコンゴーニャス空港では10便がキャンセルされ、24便に遅れ、17時~20時は目視運航が不能になったクンビッカ空港では11便がキャンセルされ、65便に遅れが出た。
14日付フォーリャ紙には「もう始まった」という見出しが躍ったが、治水に弱いブラジルを象徴するような被害はサンパウロ州以外でも起きており、グローボ局ニュースによれば、13日の全国での落雷報告は4万3千件。今週は雨が残ると見られる北伯や北東伯、南東伯では、水害拡大の恐れもある。