ニッケイ新聞 2010年12月16日付け
【既報関連】来年度予算案報告担当だったブラジル労働党(PTB)のジム・アルジェロ上議に対する告発で表面化した公金横領疑惑に関し、国庫庁が、国会議員提出の法案により08年以降、二つの架空団体その他に支払われた金は2千万レアルに上るとの捜査報告をまとめたと15日付エスタード紙が報じた。
国庫庁の捜査線上に浮かんできたのは架空の2団体と1企業で、架空団体の会計は架空企業の代理人、同団体の掃除婦は別の架空団体の会計で、その団体の理事長は架空企業の経営責任者など、アルジェロ上議絡みの公金横領とほぼ同様の手口で不正な金の流れが作り出されている。
国庫庁によると、これらの架空団体と企業に支払われた金は、アルジェロ上議絡みの60万レアルを始め、PTBのジョヴァイル・アランテス下議や、民主社会党(PSDB)マルコニ・ペリロ上議、ラケル・テイシェイラ下議、共和党(PR)サンドロ・マベウ下議、ルシアナ・コスタ下議、進歩党(PP)サンデス・ジュニオル下議などが提出した企画に関するものだという。
大統領府国家政策調整局のアレシャンドレ・パディーリャ長官が7日に徹底解明すると宣言していた公金横領疑惑の捜査には、15日から連邦検察庁も加わる他、観光省などの関連省庁でも、提出された企画毎にきめ細かい再監査を行うとの方針も発表済みだ。
一方、国会議員らが提出したイベントにはブラジリア建設50周年の記念行事なども含まれているが、その記念行事に係わった架空団体Inbrasil提出の業務実態証明書類にはパディーリャ長官の署名があり、同長官は関与を否定。同団体が長官の署名入り書類を入手した過程の追跡記事や、長官が事実関係について捜査を命じた事などは伯字紙が連日のように伝えている。
前記議員名には労働者党(PT)関係者の名前が入っていないが、50周年記念行事を請け負った企業代表はPT党員。同代表が9日、観光省からの企画承認はパディーリャ長官の援助のおかげと証言したとは10日付エスタード紙の報道だ。
パディーリャ長官はジウマ政権の保健相候補に挙げられている人物だけに今後の捜査の行方が注目されるが、アルジェロ上議が予算案報告担当を降りた後、後任を務めるセリス・シリェスレンコ上議(後任に指名されたイデリ・サウヴァッチ上議の入閣決定後に交代)も前補佐官が公金横領に係わっていた事が判明するなど、終了間際の国会審議は揺れている。