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国会最終日に予算案承認=見切り発車嫌い政府譲歩=PAC予算は33億R$削減=最低賃金は調整の余地残す

ニッケイ新聞 2010年12月24日付け

 国会審議最終日の22日夜、2011年度の予算案が承認されたと23日付ブラジルメディアが報じた。国会は23日から休会で再開は来年2月という状況下、次期政権が予算もないまま発足する事を避けるため政府側も譲歩の上で承認された予算は、ルーラ大統領の裁可を待つのみとなった。

 上下院合同予算審議委員会が22日午前中に承認した来年度予算案が本会議にかけられたのは同日午後。9時間以上にわたる折衝の末、休会入りを1時間半後に控えた22時30分頃、採決が行われた。
 予算審議の最大の難点は時間が限られていた事で、次期政権が予算のないまま見切り発車となる事を嫌う政府側は、野党との折衝で互いの譲歩を引き出し、総額2兆730億レアルの予算案承認に漕ぎ付けた。
 承認された予算は、政府原案に229億レアルを上乗せしたものだが、PAC関連予算は、削減すれば裁可を拒否するとのルーラ大統領発言にも拘らず、33億6800万レアル縮小された。
 予算審議に先立ち、プライマリー収支の計算からエレトロブラス関連会社の決算内容を外す事を承認させたい政府は、反対を表明していた野党側を説得するため、PAC予算の自由裁量枠の縮小を飲まざるを得ない状況に追い込まれた。
 これは、PAC予算の30%は、政府が必要と判断した場合、国会や予算審議委員会にかけなくても使途や規模を変更できるというもので、PAC全体に柔軟性を持たせる効用もある一方、国会を通さないままの計画変更は、国会審議の意義を減少させうる。
 今回の国会審議では、野党側がプライマリー収支計算からエレトロブラス関連の決算内容を外す事を承認する替わりに、政府側は、PAC予算の自由裁量枠30%の内、25%を超える分については予算審議委員会の承認を必要とするという条件を飲んだ。
 承認された予算の主な内容は、政府原案の435億レアルから401億5千万レアルに削減されたPAC予算他、保健衛生709億レアル、教育540億レアル、人件費1997億レアルなど。
 定員不足のまま採決された予算案は、2014年のサッカーW杯に関し各省庁提出予算枠以外の開催地向け支援に3億6千万レアルを盛込み、540レアルに設定された最低賃金、年金支給や司法関係者給与の調整などに応じるための予備費も確保。PAC予算削減分33億6800万レアルには企画省判断の余地を残しており、各省庁予算削減分30億レアルも同様の扱いとなる。