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カエル・プロジェクト=帰国子弟に明るい笑顔=サンパウロ市=2回目のナタル・フェスタ=少しずつブラジル学校へ適応

ニッケイ新聞 2010年12月24日付け

 帰国子弟のブラジル学校への適応を助けるISEC(文化教育連帯学会)のカエル・プロジェクト(中川郷子代表)は4日、サンパウロ市ヴィラ・カロンにあるバルトロメウ・ロウレンソ・デ・グスモン小学校で2回目のフェスタ・デ・ナタルを開催し、60人の子供たちが元気な姿を見せた。デカセギの帰国が相次いだ昨年はブラジルで初めてのナタルを過ごしたデカセギ子弟の子供たち、今では少しずつブラジルの学校に適応していた。

 琉球国祭り太鼓の発表や同プロジェクト参加の公立学校の生徒による楽器演奏が行われた後、子供たちはISECボランティアと一緒にジンカーナに参加。サンタクロースが到着すると、列になり、満面の笑みでプレゼントを受け取った。
 子供たちの喜ぶ様子にほっと胸を撫で下ろすのは、同校のロザーリア・アパレシーダ・デ・オリベイラ・ウンガロ校長。同校は日系人児童の割合がもともと多かったが、昨年9月には一度に10人の帰伯子弟が編入するなど、デカセギの帰国の流れに大きな影響を受けた公立学校の一つ。現在、全生徒の1割が日系人児童で、同校でのカエル・プロジェクトは今年3月から始まった。
 もちろん日本語が分からない教師ばかりの公立学校で、ポ語が分からない日系人児童とは英語でコミュニケーションを図る事もある。「子供たちの間にいじめなどの問題は全くない」と確信するアパレシーダ校長は「他の生徒が日本から帰国したばかりの子を気にかける姿に教師も感銘を受けた」と話す。
 同プログラムに協力するサンパウロ市の多民族教育・人権局の代表で出席したエリザベス・フェルナンデス・デ・ソウザさんによれば、昨年に市内の市立小学校に日本から帰国して編入したデカセギ子弟は240人。特にイタケーラ、ペーニャ、ブタンタン区に多いという。
 エリザベスさんは、「日伯文化の違いが大きいため、教師はサンパウロ市で増えつつあるボリビア児童などの対応以上に、日本からの帰国子弟への対応に骨を折っている」と説明する。子弟たちが各学校に散らばっていることも、状況を複雑にしているようだ。それでも、「日本できちんと教育を受けたデカセギ子弟は数学、歴史などの科目で基礎知識が身に付いている」と判断するエリザベスさんは「学習も1~2年で適応できるようになる」と話した。