ニッケイ新聞 2009年12月8日付け
Unctad(国連貿易開発会議)事務局長などを歴任したルーベンス・リクペロ元財務相は6日、ブラジル外交の2009年度総まとめで次のように述べたと7日付けジアリオ・ド・コメルシオ紙が報じた。
【安保理常任理事国】イランのアハマディネジャド大統領のブラジル訪問で、常任理事国入りは自らチャンスを棒にふった。常任理事国入りは、先任5カ国の影響が大きい。ブラジルはイランとの関係で、米英両国の支持を失った。イラン大統領の訪問時期も悪かった。
【ブラジル外交の感想】ガルシア大統領顧問が左翼傾向と反米政策を強く打ち出すので、自ら道を閉ざしている。2010年後の新大統領の外交政策が、注目されている。
【ルーラ政権最後の1年】当初通商政策に力を入れた現政権が、今はPT政権存続しか考えてない。党は世論の代弁者で、外交は国家の利益のためなのに、PT政治は表面だけを飾っている。
【中東和平への仲介】イスラエルの実力者は、ネタニヤフ首相。招くなら、シモン・ペレス大統領でなく首相だ。ブラジルには旧ソ連のような力がないので、中東やホンジュラス仲介には力不足だ。
【ホンジュラス問題】ブラジルは臨時政権と関わりたくないし、誰が選挙で勝とうと知ったことではない。何故なら泥棒政権だから。ただ流血革命でなかったことが救い。
【イラン外交】イランは選挙結果に抗議すると、死人が出る国。そこの大統領を貴賓として招くのは、ブラジルの伝統に反する。イランを取り巻く国際舞台にブラジルが出る幕はないのだ。
【ブラジルの仲裁能力】アルゼンチンとウルグアイがパルプ工場の建設で争ったとき、ブラジルに仲裁を求めた。しかし、ブラジルは何もできなかった。ブラジルが国際問題の仲介に乗り出すなら、足元から始めるべきではないか。世界のゴミ掃除をするなら、自分の家の裏庭から掃除を始めてはどうか。