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ゼネコンは熟練工不足=不況克服の槌音高く=建設ラッシュが始まる=簡易住宅、インフラ、W杯、五輪

ニッケイ新聞 2009年12月16日付け

 FGV(ジェトゥリオ・ヴァルガス財団)は14日、建設業界が金融危機克服後の2010年、熟練工の人手不足で悩まされるとする調査結果を発表と15日付けフォーリャ紙が報じた。不足するのは、建材製造業や、現場の土木技師や左官、助手など、18万人以上。2009年は正規雇用の労働者が235万人という新記録で閉じると見られているが、2010年はさらに8%増を必要とする予定だ。2010年は連邦政府の簡易住宅やインフラなどの建設ラッシュに、W杯や五輪が加わる。

 建設業界は2010年、現在以上の熟練工不足で悩まされそうだ。金融危機で2008年末から2009年始めにかけて停滞していた数々のプロジェクトが、再開したことによる。人手不足は建材業界にも波及する。
 2010年GDP(国内総生産)が5・8%成長と予想される中、建設業界は8・8%成長と見ている。同業界の就労者は2009年、前年度比7・3%増の235万人を記録。建設業界は景気回復のバロメーターだが、いつも熟練工が不足している。
 同業界の熟練工不足は、2009年から始まった。同年は全国で、6万9千人の熟練工不足。サンパウロ州だけで2万3千人不足、サンパウロ市では7千人不足。  
 簡易住宅や基幹構造建設のほかに、W杯や五輪が加わる。それに、岩塩層下油田の開発もある。2010年は、国中が工事現場になりそうだ。人手不足を労働時間の延長で補うので、労働事故も増えている。
 建設現場の事故死はサンパウロ州で、2008年の7人から2009年は20人に増えた。原因は、過労と思われている。
 業界は2010年の人手不足を熟知しているが、技術の質低下も恐れている。質が落ちた労働者採用は、工事の責任問題に及ぶ。さらに経営にも差し支える。
 SENAI(職業学校)から今年、3万1千人の卒業生が建設現場へ配置される。しかし、熟練工となるには実地で鍛えるしかない。建設現場には、左官見習の研修コースも設けてある。
 人手不足には、SENAIも憂慮している。需要に応じた訓練コースの工夫が、求められている。工程に応じた授業を受けるために毎日、工事現場を移動し技術のポイントを把握させる。土木工事理論については、通信教育制度も検討中だ。