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ブラジルの将来担う風力発電=初回入札で195億R$動く=温暖化防止でも注目の的

ニッケイ新聞 2009年12月16日付け

 将来の再生可能エネルギー源として期待される風力発電所建設に関する初回入札が14日に行われ、71の発電所建設計画が成約と15日付伯字紙が報じた。
 風力発電は、地球温暖化が叫ばれる様になってから特に注目され始めた再生可能エネルギーの一つで、同種エネルギーを用いた発電方法の中では、発電コストが比較的低く、事業化も割と容易だ。太陽光発電の様に時間を選ばず、エネルギー自給率向上や温室効果ガス排出量低減の面でも注目されるが、ブラジルでの発電量はまだ602MW。
 風力発電でブラジルの電力消費量の60%以上をカバーできる事は1月1日付エスタード紙でも報じられていたが、風力発電量の伸びが小さいのは、ブラジルの政策が水力発電依存型であるためだ。
 13日付フォーリャ紙によれば、ブラジルのエネルギー全体では、水力発電68・55%に対し、風力発電は0・53%。クリーンエネルギーとして期待されながら、ガス10・52%、バイオマス5・28%、重油4・91%、石炭1・34%などの火力発電、1・75%の原子力発電にも押されている。
 政府が本腰を上げてこなかった一方、国内に施設建設能力を持つ企業がない事も国内での風力発電拡大の妨げとなっているが、13日付エスタード紙によれば、ブラジルへの進出・拡大を目指しているのは、ドイツのシーメンスや、アルゼンチンのImpsa、デンマークのVestasなど。
 今回の入札には339件、発電量1万MWの計画が提出されていたが、成約は71件、発電量は1805MWで、2012年7月から20年間の契約総額は195億レアルとなった。
 成約した発電所は、北大河、セアラ、バイア、セルジッピ、南大河各州のもの。現行発電量の3倍の1805MWが新たに確保されれば、火力発電への依存度と発電コスト低減も可能となる。
 風力発電には秒速7メートル以上の風が必要とされるが、国内で適切な風が吹く地域は7万1千平方キロもある。特に北東伯では、乾季に風が強まる事から、水力発電と風力発電の併用による安定した電力供給確保が期待されている。